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前駆T細胞性腫瘍
本型の範疇とされる前駆T細胞リンパ芽球性白血病precursor T lymphoblastic leukemia(T-ALL)/前駆Tリンパ芽球性リンパ腫(T-LBL)はT細胞系にコミットした未熟な段階のリンパ芽球の腫瘍である.
T-ALLは末梢血...
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本型の範疇とされる前駆T細胞リンパ芽球性白血病precursor T lymphoblastic leukemia(T-ALL)/前駆Tリンパ芽球性リンパ腫(T-LBL)はT細胞系にコミットした未熟な段階のリンパ芽球の腫瘍である.
T-ALLは末梢血、骨髄に腫瘍細胞がみられることが多く、T-LBLではリンパ節やリンパ節外に腫瑠を形成することが多く.骨髄での芽球の浸潤は随意的であるが25%以上がT-ALL、以下がT-LBLとされる.
     欧米の頻度では、小児ALLの約15%、成人ALLの25%を占めるとされるが、本邦のJALSGの統計(Ueda et al.1998,Takeuchi et al.2002)ではやや低いようである.T-LBLはLBLの85~95%を占め、約半数の症例に縦隔腫瑠を認める.
 T-ALLの末梢血・骨髄での形態学的な特徴は、私見ではあるが増加するリンパ芽球に対し分裂像や核形不整(核縁の一部が陥没)がみられる.ACP染色ではdot状に強陽性がみられ、PAS染色は通常陰性が多く陽性の場合は点状の陽性を示す.T-LBLのリンパ節でも形態学的特徴は、リンパ芽球がリンパ節全体に単調なび慢性の増殖を示す.T-LBLの少数例に骨髄で顆粒球系の過形成と好酸球増加を示すものはt(8;13)(p11.2;q11-12)の核型異常を認める(Inhorn et al.1995).
 表現型では、CD3、CD4、CD7、TdTが陽性で、時にCD10、CD13、CD117
(c-kit)などが陽性である.遺伝子解析ではTCRα、TCRβ、TCRδのいずれかで再構成がみられる.
 T-ALL、T-LBL共に高リスク群として治療される.
(たたむ)