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放射線関連白血病
放射線関連白血病には(1)原爆被爆者白血病(leukemia amang atomic bomb survivors)、(2)原爆以外による放射線白血病(radiation-induced leukemia except atomic bomb)がある。
1.原爆被爆者白血病
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放射線関連白血病には(1)原爆被爆者白血病(leukemia amang atomic bomb survivors)、(2)原爆以外による放射線白血病(radiation-induced leukemia except atomic bomb)がある。
1.原爆被爆者白血病
 1945年(昭和20年)8月6日(広島)、8月7日(長崎)に投下された原子爆弾はウラニウムとプルトニウムであった。原子爆弾のエネルギーは、爆風50%、熱線35%、放射線15%と推定されている。熱線の火球表面温度は約7000度と計算され、爆心地から約1.2km以内で直接熱線を受けた人は致命的で、死者の20~30%がこの熱傷によるものとされる。放射線被爆による障害は急性障害と後障害に分かれる。前者は、脱毛、紫斑、口腔咽頭部病変、白血球減少などが主で、後者はがんの発生が多く占めた。1950~1985年の35年間の調査(原爆障害調査委員会ABCC-放射線影響研究所)によるがんの発生では、1950年頃より白血病、1955年頃より甲状腺癌、1965年頃より乳癌・肺癌、1975年頃より胃癌・結腸癌、1980年頃より皮膚癌・髄膜腫が有意に増加した。それらの発生率は、被曝時年齢が低いほど、被曝線量が高いほど高く、乳癌や肺癌などは40歳過ぎてがんの好発年齢に達した頃増加の傾向にあった。被曝50年後にもみられる異常所見として、①白内障、②染色体異常、③EBウイルス抗体高値、④DNAのTf遺伝子の活性化、⑤内因性レトロウイルスの活性化などがある。最初のがんを克服しても二重、三重がんの発生もある。白血病の頻度は393例中、①AML202例(51.4%)、②CML102例(25.9%)、③ALL62例(15.8%)、④MDS27例(6.9%)である(Ichimaru.1991)。原爆被爆者白血病の臨床的特徴は、骨髄には白血病細胞が存在しながらも末梢血には出現しない、いわゆる非白血性白血病(aleukemic leukemia)の形式をとることや長い間MDSの状態を伴うことである。
2.原爆以外による放射線白血病
 1)体外被曝による白血病発生
 ①米国放射線専門医では、放射線を取り扱わない医師の8~9倍の比率で(Henshaw et al.1944)、②X線局所治療を受けた患者では、英国の強直性脊椎炎患者、米国の胸腺肥大児に10倍の比率で(Pifer et al.1963)、③在胎中に骨髄X線撮影を受けた子供では、受けていない子供より約2倍の比率(Stewart et al.1958)で発生する。
     2) 体内被曝による白血病発生
 体内被曝では放射線被曝の線量率が低く、慢性に照射されるため、障害は放射線核種や標的臓器の感受性によって異なる。
 ①第2次世界大戦中に用いられた血管造影剤(トロトラスト)にて約10%に肝癌が発生した。②ロシア・ウラル軍事施設で発生した核廃棄物貯蔵タンクの爆発によるストロンチウム90汚染、③チエルブイリ原発事故によるヨウ素131、セシウム137の内部被曝によるものがある。
 [文献:鎌田七男:白血病診断図譜詳解.長崎・ヒバクシャ医療国際協力会.2004(鎌田先生より阿南が謹呈を受けた貴重な雑誌から引用したもの)]
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