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前駆B細胞性腫瘍
本型の範疇とされる前駆B細胞リンパ芽球性白血病precursor B lymphoblastic leukemia(B-ALL)/前駆Bリンパ芽球性リンパ腫(B-LBL)はB細胞にコミットした未熟な段階のリンパ芽球の腫瘍である.
B-ALLは末梢血、...
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本型の範疇とされる前駆B細胞リンパ芽球性白血病precursor B lymphoblastic leukemia(B-ALL)/前駆Bリンパ芽球性リンパ腫(B-LBL)はB細胞にコミットした未熟な段階のリンパ芽球の腫瘍である.
B-ALLは末梢血、骨髄に芽球がみられることが多く、B-LBLではリンパ節やリンパ節外に腫瑠を形成することが多く.骨髄での芽球の浸潤は随意的であるが25%以上がB-ALL、以下がB-LBLとされる.
     ALLは6歳以下の小児に多く欧米のデータではALLの80~85%がB-ALLであり、B-LBLはLBLの約10%と少なく多くは若年者とされる.
B-ALLの末梢血・骨髄での形態学的な特徴は少なく、骨髄像での分裂像はT-ALLほど顕著ではない.PAS染色の陽性の頻度は高く、私見であるが小児ALL799例中のPAS染色の陽性率は83%であり、PAS染色はリンパ芽球に有効と思われる.そしてリンパ芽球を強く支持できる陽性態度は点状から塊状の強陽性の所見である.
 表現型では、HLA-DR、CD19、細胞内CD79aが陽性である.B-ALLは腫瘍性の分化のレベルにより、未分化な順に①early precursor B-ALL、②common ALL、③pre-B-ALL、④B-ALL(Burkitt-ALL)とよばれる.
 染色体解析から次の核型異常がみられる.
①t(12;21)‥芽球はHLA-DR、CD10が陽性、CD19、CD20が陰性である.
 小児に多く予後良好とされる.
②t(9;22)‥Ph染色体が陽性でBCR-ABL遺伝子が形成され、チロシンキナ ーゼ活性を有する予後不良群である.小児ではp190kd BCR/ABL蛋白、成 人ではp210kd BCR/ABL蛋白が主とされる.
③t(4;11)‥early precursor B-ALLの表現型を示し、CD10陰性、CD15 陽性である.
④t(1;19)‥pre-Bの表現型を示し、細胞内免疫グロブリンμ鎖陽性、CD10 陽性、CD34陰性である.
 予後では、小児におけるB-ALLの完全寛解率は約95%で約80%が治癒する.成人では完全寛解率は65~85%であるが、長期生存率は30%と不良である.1歳未満の乳児ではMLL遺伝子が関与するものが多く予後不良である.
B-LBLの50%生存期間は約5年と報告されている(Lin et al.2000)
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