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 慢性好中球性白血病(CNL)はまれな骨髄増殖性疾患であり、白血球の増加(25,000/μl以上)、末梢血の好中球増加(80%、20,000/μl以上)と
Ph染色体、BCR-ABL遺伝子が認められないこと、臨床的には肝脾腫大が...
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 慢性好中球性白血病(CNL)はまれな骨髄増殖性疾患であり、白血球の増加(25,000/μl以上)、末梢血の好中球増加(80%、20,000/μl以上)と
Ph染色体、BCR-ABL遺伝子が認められないこと、臨床的には肝脾腫大が診断に有効である。除外すべきは反応性の好中球増加と他の骨髄増殖性疾患や骨髄異形成症候群である。
     
 本例は、顆粒球系が優位のことより慢性骨髄増殖性疾患を考えた。
本疾患は範囲が広域にまたがるために鑑別疾患に対して除外診断を行うことが需要である。最もCMLに類似していたが、好中球(分葉核)が優位と好酸球や好塩基球の増加もなく、NAP活性が高値よりそれは否定した。また類白血病反応では基礎疾患が不明のことから除外した。好中球のみの増加が20,000/μl以上(実際は47,840/μl)、血小板の増加はなく、VB12、血清・尿リゾチーム、尿酸の高値などより慢性好中球性白血病(CNL)を疑った。
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■症例詳細データ
性別
年齢 75-79
取得年代 2000-2004
主訴 白血球増加。
既往歴 特になし。
現病歴 白血球増加にて好中球の増加がみられ精査のため当科入院となる。
肝脾腫大(+)。
検査所見 WBC 52,000/μl (Promy1, My3, Met2, St6, Seg86, Ly2%)
RBC 542万/μl、Hb 12.5g/dl、Ht 40.7%、MCV 75.0fl、MCH 23.0pg、MCHC 30.7%、PLT 14.5万/μl、
NCC 40.6万/μl、MgK 156.25/μl (芽球3.0%)、LD 424IU/l、UA 8.6mg/dl、
リゾチーム(s) 72.3μg/ml、VB12 6,100pg/dl
末梢血所見 白血球著増(52,000/μl)にて好中球の増加(47,840/μl)がみられた。
赤血球恒数は小球性低色素性貧血をうかがうものであった。
骨髄所見 過形成像にてM/E比は7.4と顆粒球系が優位で、特に好中球の増加がうかがえた。
細胞化学所見 顆粒球系におけるPO染色、PAS染色、EST染色に著変はみられなかった。
好中球におけるNAP染色は高値(PR100%, PS476)であった。
形態診断 顆粒球系が優位のことより慢性骨髄増殖性疾患を考えた。
CMLにしては好酸球や好塩基球の増加もなく、NAP活性が高値より否定した。また類白血病反応は基礎疾患が不明のことから除外した。好中球の著増20,000/μl以上(実際は47,840/μl)や
VB12、血清・尿リゾチーム、尿酸の高値などより慢性好中球性白血病(CNL)を疑った。
免疫学的所見 未施行。
分子生物学的所見 46,XX
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 末梢血、骨髄に増加する好中球の割合よりCNLが疑われた。
三浦亮(1992)のCNLの基準、①白血球増加(20,000/μl以上)、②Ph染色体陰性、③真性多血症の診断を満たさず血小板が100万/μl以下、④NAP活性高値、⑤類白血病反応(感染、悪性腫瘍など)を来たす原因疾患を認めない。⑥VB12、血清・尿リゾチーム、尿酸の高値など‥の条件を満たすものであった。