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 本例は、増殖する芽球は大半が顆粒を有することからAPL-M3を疑ったが、アウエル小体は認めず、正常核型やPML-RARA遺伝子変異を認めなかったことよりM3は否定された。AMLの病型分類に当てはめることが困難な例で...
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 本例は、増殖する芽球は大半が顆粒を有することからAPL-M3を疑ったが、アウエル小体は認めず、正常核型やPML-RARA遺伝子変異を認めなかったことよりM3は否定された。AMLの病型分類に当てはめることが困難な例であり、HLA-DRが陰性のことよりM1より分化傾向にあるM2あたりを考えるが、HLA-DR陰性のAMLとして診断する方が妥当かも知れない。
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■症例詳細データ
性別
年齢 75-79
取得年代 2005-2009
主訴 白血球減少症
既往歴 高血圧症
現病歴 高血圧症にて近医に年1回通院していた。最近、近医を受診したところ白血球3,900/μlと指摘され当院当科へ紹介された。 意識清明、眼瞼結膜(貧血なし)、眼球結膜(黄疸なし)、表在リンパ節触知しない。
検査所見 WBC 1,000/μl、RBC 355万/μl、Hb 12.6g/dl、Ht 34.2%、MCV 96.3fl、MCH 35.4fl、MCHC 36.8%、PLT 14.2万/μl、BM-NCC25.4万/μl、PT 12.3sec、APTT 26.4sec、Fbg 284mg/dl、FDP 5.0μg/ml、D-dimer 55μg/ml、TP 7.4g/dl、Alb 4.0g/dl、UA 7.8mg/dl、AST 20IU/l、ALT15IU/l、LD 401IU/l、Cre 0.68mg/dl、BUN 20.2mg/dl、CRP 2.1mg/dl、TPHA(-)、HCV-Ab(-)、HTLV-Ⅰ(-)
末梢血所見 白血球減少(1,000/μl)のもと、好中球18%(180/μl)、リンパ球77%であり、周囲には芽球を認た。
骨髄所見 骨髄は正形成のもと芽球は92%と増加していた。それらの多くは顆粒を有し、なかでも微細顆粒を有するものが60%、細顆粒を有するものが32%みられた。アウエル小体は認めなかった。
細胞化学所見 芽球はPO染色に多くは陽性であった。EST二重染色では顆粒球系はクロロアセテートに陽性であった。
形態診断 骨髄にて顆粒を有する芽球群は90%以上を占め、しかもPO染色に陽性を呈していたことよりAML-M1を疑った。しかし、芽球全般にアズール顆粒が豊富であったことより、M3は否定せねばならず、また非典型的なAML-M2も考慮すべきかと考えた。
免疫学的所見 CD13・CD33 (+)、CD34・HLA-DR(-)
分子生物学的所見 46,XY [20]
PML-RARA(-)
リンパ節所見 N.D
臨床診断 増殖する芽球は大半が顆粒を有することからAPL-M3を疑ったが、アウエル小体は認めず、正常核型やPML-RARA遺伝子変異を認めなかったことよりM3は否定された。AMLの病型分類に当てはめることが困難な例であり、HLA-DRが陰性のことよりM1より分化傾向にあるM2あたりを考えるが、HLA-DR陰性のAMLとして診断する方が妥当かも知れない。