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 乳児(生後2ヶ月)に発症した先天性無顆粒球症(Kostomann症候群)と診断され、皮膚感染、扁桃炎、尿路感染、肺炎など感染を繰り返し、抗生剤G-CSFで治療が行なわれた。
2歳頃より、肝脾腫、リンパ節腫が著明とな...
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 乳児(生後2ヶ月)に発症した先天性無顆粒球症(Kostomann症候群)と診断され、皮膚感染、扁桃炎、尿路感染、肺炎など感染を繰り返し、抗生剤G-CSFで治療が行なわれた。
2歳頃より、肝脾腫、リンパ節腫が著明となり、輸血を必要とする血小板減少が持続した。3歳頃、突然腰痛を訴え、白血球246,900/μl、Hb5.1g/dlであった。結果として、Kostomann症候群からMDSそして単球性白血病への転化をとったものと思われた。
先天性無顆粒球症はG-CSFの産生能の先天的欠如や無効造血などが考えられ、一部は白血病化へ移行するといわれている。古い文献から以下の3例がある。①AMoLへ(14歳、女児.1970)、②AMMoLへ(14歳、男児.1979)、③AMLへ(13歳、男児.1993)、④本例
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■症例詳細データ
FAB分類 > その他
性別
年齢 00-04
取得年代 1990-1994
主訴 【初診時】
易感染症、顆粒球減少。
既往歴 【初診より2年前】
Kostoman's syndrome
現病歴 【初診より2年前】
胎児切迫仮死にて帝切で出産。在胎38週、出生体重2,686g、生後3日に哺乳力低下、発熱、肛門周囲の発赤、肝脾腫を認める。白血球増加(11,960/μl)の分類にて好中球7%(837.2/μl)であった。肛門周囲の炎症部よりPseudomonous aeruginosaが検出され、抗生剤にて軽快、その後も皮膚の炎症、発熱を繰り返すため生後2ヶ月で当院転院となる。
【入院時現症】
全身状態良好、BT 36.8℃、貧血なし、肝3cm、脾1cm、両耳介後部に膿様疹
検査所見 【初診時】
WBC 7,500/μl(Seg1.0, Ly76.5, Mo17.0, Eo5.0, At.ly0.5%)、RBC 381万/μl、Hb 9.9g/dl、Ht 32.9%、MCV 86.3fl、MCH 26.0pg、MCHC 30.1%、
PLT 61.8万/μl、NCC 23.8万/μl、Mgk 68/μl、LD 483IU/l、TP 5.4g/dl、CRP 1.6mg/dl、BUN 7.0mg/dl、UA 8.4mg/dl、AST 18IU/l、IgG 610mg/dl(κ型)、IgA 40mg/dl、IgM 124mg/dl
【入院1年後】
WBC 9,200/μl (Seg0.0, Ly40.0, Mo55.0, Eo1.0, Ba2.0, At.ly2.0%)、
RBC 181万/μl、Hb 5.9g/dl、Ht 16.3%、MCV 90.0fl、MCH 32.5pg、MCHC 27.6%、PLT 2.6万/μl、
NCC 13.6万/μl、Mgk 31.0/μl
末梢血所見 【初診時】
白血球7,500/μlの分類ににて好中球1%(75/μl)の著減とリンパ球は76.5%(5,737/μl)、単球17%(1,275/μl)の増加がみられた。芽球などの出現はみられなかった。
【入院1年後】
白血球の増加に伴い単球の増加が顕著になった。
単球系の分化段階がみられた。
骨髄所見 【初診時】
正形成像にて芽球は2.5%、幼若顆粒球は4.0%、好酸球は8.0%、単球は0.5%、リンパ球は60.0%であった。
リンパ球は成熟リンパ球の形態であった。一部に大型のものについては芽球との鑑別に苦慮するものがみられた。
【入院時】
顆粒球系、赤芽球系、単球に2核のものがみられた。
【入院1年後】
骨髄穿刺は施行されなかった。
細胞化学所見 【入院時】
骨髄にて成熟赤芽球にPAS陽性がみられた。
【入院1年後】
末梢血にて優位する単球系細胞にEST染色が陽性であった。
形態診断 【初診時】
好中球の著減とリンパ球の相対的増加が主体であり、増加となるリンパ球には形態異常は見当たらない。
【入院時】
骨髄にて2系統の形態異常や赤芽球がPAS染色に陽性であったことよりMDS様と診断した。
【入院1年後】
末梢血にて優位する単球系細胞から単球への転化を考えた。
免疫学的所見 【入院1年後】
CD13・CD14・CD4・HLA-DR(+)
分子生物学的所見 【初診時】
46,XX
【入院1年後】
45,XX,-7,add(18)(q23)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 乳児(生後2ヶ月)に発症した先天性無顆粒球症(Kostomann症候群)と診断され、皮膚感染、扁桃炎、尿路感染、肺炎など感染を繰り返し、抗生剤G-CSFで治療が行なわれた。
2歳頃より、肝脾腫、リンパ節腫が著明となり、輸血を必要とする血小板減少が持続した。3歳頃、突然腰痛を訴え、白血球246,900/μl、Hb5.1g/dlであった。
結果として、Kostomann症候群からMDSそして単球性白血病への転化をとったものと思われた。
先天性無顆粒球症はG-CSFの産生能の先天的欠如や無効造血などが考えられ、一部は白血病化へ移行するといわれている。古い文献から以下の3例がある。
①AMoLへ(14歳、女児.1970)、②AMMoLへ(14歳、男児.1979)、③AMLへ(13歳、男児.1993)、④本例