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 骨髄の芽球は20%以上で、顆粒球系や単球系、またそれらの前駆細胞が骨髄有核細胞(ANC)の20%以上を占める。末梢血では単球が5000/μl以上を示す病型である。
     
 本例は、末梢血で芽球の出現と単球が4,566/μ...
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 骨髄の芽球は20%以上で、顆粒球系や単球系、またそれらの前駆細胞が骨髄有核細胞(ANC)の20%以上を占める。末梢血では単球が5000/μl以上を示す病型である。
     
 本例は、末梢血で芽球の出現と単球が4,566/μlと著増、骨髄で芽球が20%以上と顆粒球系と単球系の混在よりAML-M4を考えた。PO染色では芽球や顆粒球系は陽性で単球系は陰性から弱陽性、ブチレートEST染色が陽性でNaFに阻害されM4を支持するものであった。ただ上顎洞の腫瘤に対しては
単球性白血病によくありがちな組織浸潤を考えたが、生検で悪性リンパ腫(リンパ芽球型)と診断された。別系統が同時に発症することは考えにくく
不明である。治療はAMLの治療のLACLS AML99(Intermediate risk)が開始された。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 骨髄単球性 (骨髄系と単球系の混在:M4...
性別
年齢 00-04
取得年代 2000-2004
主訴 両上顎部腫脹、左眼球突出。
既往歴 特になし。
現病歴 1ヶ月前肺炎のため近医にて加療、退院後顔の腫れを指摘され、1ヶ月後、両頬部の腫脹が明瞭になり抗生剤を受けるも軽快しなかった。
他院にて両上顎洞の試切をうけ、病理診断にて白血病またはリンパ腫が疑われ当科に紹介入院となった。
検査所見 WBC 35,130/μl(芽球6, My1, Met1, St-Seg31, Mo13,
Ly47%)、RBC 313万/μl、Hb 7.9g/dl、Ht 26.6%、MCV 85.0fl、MCH 25.2pg、MCHC 25.2%、PLT 21.0万/μl、
NCC 40.4万/μl、Mgk 105.0/μl(芽球45.0%)、LD 681IU/l、TP 5.9g/dl、CRP 2.86mg/dl、BUN 7.1mg/dl、Ca 9.6mg/dl、AST 28IU/l、ALT 11IU/L、リゾチーム(s) 44.4μg/ml
末梢血所見 白血球増加(35,130/μl)の分類にて芽球6%と単球13%(4,566/μl)の増加がみられた。
骨髄所見 過形成像にて芽球は45%みられ、以降顆粒球系(22%)と単球系(25%)の混在がみられた。
細胞化学所見 芽球と顆粒球系はPO染色に陽性であり、一部の好中球に陰性がみられた。単球は陰性から弱陽性であった。
ブチレートEST染色は単球系に強陽性でNaFに阻害された。
EST染色の所見では単球系の優位が示唆されるようであった。
形態診断 末梢血では芽球が6%、単球が13%(4,566/μl)と著増し、骨髄では芽球が20%以上と顆粒球系と単球系の混在よりAML-M4を考えた。ブチレート陽性EST染色では単球が優位、MG染色では顆粒系と単球系の明らかな混在がみられ、双方に差がみられた。
免疫学的所見 CD13・CD33・CD4・CD14・CD11b・HLA-DR(+)
分子生物学的所見 47,XX,+6[20]
リンパ節所見 [病理組織診断]
上顎洞腫瘤生検にて悪性リンパ腫(彌慢性)のリンパ芽球型と診断された。
臨床診断 骨髄における芽球(45%)と骨髄系と単球系の混在によりAML-M4と診断された。上顎洞腫瑠生検では悪性リンパ腫(リンパ芽球型)と診断された。異なる腫瘍が同時に発病したものか不明であったが、治療はAMLの治療のLACLS AML99(Intermediate risk)が開始された。その後、骨髄バンクからdonorを探し非血縁者間骨髄移植施行を予定している。