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 AML-M3の最近の治療の動向を紹介する。
①治療はall-trans retinoic acid(ATRA)と化学療法による寛解導入療法、地固療法で行われる。JALSGのデータでは5年生存率は74~84%である。
②再発したM3に対し亜ヒ酸(A...
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 AML-M3の最近の治療の動向を紹介する。
①治療はall-trans retinoic acid(ATRA)と化学療法による寛解導入療法、地固療法で行われる。JALSGのデータでは5年生存率は74~84%である。
②再発したM3に対し亜ヒ酸(As2O3)療法が極めて有効とされる。再発M3に対する亜ヒ酸の治療成績は完全寛解率85~92%とされる。
③新規レチノイドであるAm-80は、ATRAに比較して強力な分化誘導能をもつこと、ATRA耐性のメカニズムの1つである細胞内レチノイン酸結合蛋白
(cellular retinoic acid binding protein:CRABP)に親和性がないこと、長期連用にわたり血中濃度が減少しないことが特徴とされる。
[恵美宣彦:医学のあゆみ.2005]
本症は生後にRye症候群と診断され、その後AML-M3と診断されたものである
(たたむ)

■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 顆粒豊富なAPL (M3)
性別
年齢 00-04
取得年代 2000-2004
主訴 発熱。
既往歴 生後:Rye症候群
現病歴 重度の脳性麻痺。
検査所見 WBC 88,100/μl、RBC 225万/μl、Hb 6.5g/dl、Ht 21.0%、MCV 93.3fl、MCH 28.8pg、MCHC 30.9%、PLT 2.4万/μl、NCC 6.0万/μl、Mgk 0/μl、
LD 1,020IU/l、TP 7.2g/dl、CRP 0.8mg/dl、
PT 65%、APTT 35.2sec、Fib 60mg/dl、FDP 52μg/ml、
D-ダイマー 14.25μg/ml
末梢血所見 白血球増加に分類にて芽球すなわち病的な前骨髄球が90%みられた。
束状のアウエル小体(ファゴット細胞)もみられ典型的な病的前骨髄球と思われた。
骨髄所見 低形成の骨髄にて末梢血と同様な病的な前骨髄球が96%みられた。亜鈴状の核形不整や微細で豊富なアズール顆粒、そしてファゴット細胞もみられた。
細胞化学所見 病的前骨髄球はPO染色にて細胞質一面に充満するほどの陽性態度であった。
形態診断 骨髄、末梢血ともに出現する芽球は病的前骨髄球であり、PO染色に強陽性を呈したことよりAML-M3を疑った。
免疫学的所見 CD13(+)、CD33 (±)、CD34(±)、HLA-DR (-)
分子生物学的所見 46,XY,t(15;17)(q22;q22)[20]
PML/RARα(+)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 末梢血、骨髄の形態像は典型的なM3の細胞であり、DIC所見もみられたことよりAML-M3と診断された。表現型ではCD33が強陽性、HLA-DRが陰性よりM3を支持するものであった。染色体では、t(15;17)の核型異常とPML/RARα遺伝子が認められた。本例は生後Rye症候群に罹患しており、その後AML-M3が発症したものである。