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 骨髄にて単球系(単芽球、前単球、単球)が80%以上を占め、そのなかで単芽球が80%未満の場合をM5bに診断される。
 M5bでは前単球と単球が主体になるが、その鑑別を私見的に述べる。
1)単芽球:円形~類円形...
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 骨髄にて単球系(単芽球、前単球、単球)が80%以上を占め、そのなかで単芽球が80%未満の場合をM5bに診断される。
 M5bでは前単球と単球が主体になるが、その鑑別を私見的に述べる。
1)単芽球:円形~類円形核、核網は粗網状、核小体は明瞭、顆粒は通常認
 めない、細胞質は強好塩基性、突起あり(舌状)など。
2)前単球:核形不整あり、核網は繊細網状、核小体あり、微細顆粒を認め
 る、細胞質は中等度の好塩基性など。
3)単球:核の分葉度が強い、核網は繊細、③微細顆粒など。
 成熟につれ細胞質に二重構造がみられることが多い。すなわち、核の周
 囲は顆粒質で、辺縁は硝子質様を呈することである。
     
本例は骨髄で単球系が優位のなか単芽球が80%以下(実際は50%)の範疇より分化型の単球性白血病(M5b)を考えた。本例は11q23の症例であった。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 単球性 (単球系が優位) > 分化型 (M5b)
性別
年齢 15-19
取得年代 2000-2004
主訴 発熱、全身倦怠感。
既往歴 特になし。
現病歴 膝関節痛が出現し、発熱、倦怠感で来院し白血球の著増と末梢血にて芽球様が出現していたため入院となった。
検査所見 WBC 79,300/μl(Mo.93%)
RBC 330万/μl、Hb 9.4g/dl、Ht 28.2%、PLT 10.4万/μl
MCV 85.4fl、MCH 28.4pg、MCHC 33.3%、
NCC 15.6万/μl、MgK 18.75/μl(芽球50%)、LD 2,100U/l、リゾチーム(s) 52μg/ml
末梢血所見 白血球著増(79,300/μl)にて単球系は93%(73,749/μl)と増加していた。それらには分化傾向がみられた。
骨髄所見 正形成像にて単球系は全有核細胞(ANC)中の95%であった。
そのなかで単芽球は50%、前単球は35%、単球は10%であった。
細胞化学所見 単球系はPO染色に大部分が陰性で一部に弱陽性がみられた。
ブチレートEST染色は強陽性でNaFに阻害された。
形態診断 末梢血、骨髄に増加する単球系は分化傾向がみられ、骨髄では単球系が優位であり、なかでも単芽球が50%(FAB分類のM5bの基準80%以下)の範疇より分化型の単球性白血病(M5b)を考えた。
免疫学的所見 CD11b・CD11c・CD13・CD33・HLA-DR (+)
分子生物学的所見 46,XY,t(v;11)(v;q23)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 光顕的に単球系の増加がみられ、骨髄では単芽球が50%より分化傾向を示唆するものでありAML-M5bと診断された。
染色体では11q23異常がみられたため、WHO分類では特異的染色体異常を示す病型になる。