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 巨核芽球の同定に特異的な表現型として以下のものがある。
CD41(glycoprotein:GPⅡb/Ⅲa)、CD42(GPⅠb)、CD61(GPⅢa)がそうであり、最も未熟型を反映するのはCD41とされる。しかし、最近CD41の反応が弱いものや陰...
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 巨核芽球の同定に特異的な表現型として以下のものがある。
CD41(glycoprotein:GPⅡb/Ⅲa)、CD42(GPⅠb)、CD61(GPⅢa)がそうであり、最も未熟型を反映するのはCD41とされる。しかし、最近CD41の反応が弱いものや陰性の報告があり、それについてはCD9が有効であるという報告がある(常名ら.2010)。CD9はもともとpre-Bの培養株とされたものだが、血小板のα顆粒に存在するとも云われ今後の集積が待たれる。
 本例はダウン症を併発したAMLでもあった。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 急性骨髄性白血病 (AML) > 巨核球性 (M7)
性別
年齢 00-04
取得年代 2000-2004
主訴 下肢の紫斑。
既往歴 ダウン症候群。
現病歴 1ヶ月前、右下肢に紫斑が出現し、近医にて血小板減少を指摘され同院にて経過観察中、末梢血に芽球が認められたため当科に紹介入院となった。
肝脾腫(+)、出血傾向(+)、リンパ節腫脹(+)、DIC(-)。
検査所見 WBC 8,600/μl(芽球8%)、RBC 387万/μl、Hb 11.5g/dl、Ht 33.1%、PLT 1.5万/μl、MCV 85.5fl、MCH 29.7pg、MCHC 34.7%、NCC 44.8万/μl、MgK 37.5/μl (芽球49%)、LD 337IU/l、FDP 5.0μg/ml、
D-ダイマー 1.0μg/ml
末梢血所見 白血球の正常にて、芽球は8.0%みられ、核は類円形から核形不整で核小体もみられた。
骨髄所見 過形成像にて芽球はNEC中の49%みられ、それらは大型でN/C比は低く、明瞭な核小体や細胞質には突起物がみられた。
2核の芽球様細胞には赤血球が細胞質を貫入する現象(emperipolesis:エンペリポレシス)がみられた。
細胞化学所見 芽球はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性であった。
ACP染色では凝集塊状の陽性を呈した。
形態診断 形態像やPO染色が陰性、ACP染色の陽性態度、また臨床的にダウン症の情報も加味して急性巨核球性白血病を疑った。
免疫学的所見 CD4(50.5%)、CD7(71.5%)、CD13(58.5%)、CD3(85.0%)、CD34(46.6%)、CD41(52.6%)、CD117(37.1%)、HLA-DR(42.4%)
分子生物学的所見 47,XY,+21‥20/20
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 PO陰性芽球は光顕的所見やCD41陽性よりAML-M7と診断された。本例はダウン症を併発したAMLでもあった。