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 WHO分類は系統不詳の急性白血病(二重表現型)を次の3つに分類した。1.Acute undifferentiated leukemia
     形態、細胞化学、細胞表現型のいずれも明確な系統帰属を示さない白血 病。
2.Acute bilineal leuke...
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 WHO分類は系統不詳の急性白血病(二重表現型)を次の3つに分類した。1.Acute undifferentiated leukemia
     形態、細胞化学、細胞表現型のいずれも明確な系統帰属を示さない白血 病。
2.Acute bilineal leukemia
     骨髄系とリンパ球系の両系統の芽球が混在する白血病。
3.Acute biphenotypic leukemia
     同一細胞で骨髄系とリンパ球系の両形質を同時に保有する白血病。
 
     本例は表現型より骨髄系・単球系にBリンパ球系の混在が考えられた。染色体では11q23、MLL遺伝子を認めた。
(たたむ)

■症例詳細データ
FAB分類 > その他
性別
年齢 00-04
取得年代 1995-1999
主訴 発熱。
既往歴 特になし。
現病歴 発熱が出現し近医を受診する。血液検査にて白血球の増加を指摘され、当科へ紹介入院となった。
皮下出血(+)、リンパ節腫脹(-)
検査所見 WBC 183,800/μl (芽球90.0%)
Hb 6.8g/dl、PLT 6.0万/μl、
NCC 19.3万/μl、MgK 12.5/μl (芽球85.0%)、LD 1276IU/l、CRP 2.26mg/dl、UA 6.6mg/dl、
リゾチーム(s) 68.7μg/ml
末梢血所見 白血球の著増(183,800/μl)にて芽球様は90%みられた。
それらは核形不整や核小体がみられ、一部にアウエル小体を認めた。
骨髄所見 芽球様は85%みられ、全般に核形不整や核小体を有し、一部にアズール顆粒がみられた。
周囲には単球もみられた。
細胞化学所見 芽球様はPO染色に20%が陽性、単球は陰性から陽性であった。
形態診断 末梢血、骨髄の芽球様細胞はPO染色に20%が陽性よりAMLを考えた。そのなかで、単球の混在を如何に考えるかが問題となった。
単球についてはPO染色の陽性態度(陰性~陽性)やリゾチームの上昇が裏付けるものとなった。
芽球の割合よりAML-M2を疑い、形態学的には光顕的限界の症例かと思われた。
免疫学的所見 CD5(22.0%)、CD7(51.8%)、CD10(63.2%)、CD20(55.2%)、CD13(56.6%)、CD33(54.3%)、CD15(78.1%)、CD11c(55.3%)、HLA-DR(57.8%)、CD19(0.4%)、CD14(11.0%)、CD34(1.0%)
分子生物学的所見 46,XY,t(9;11)(p22,q23)
46,XY,t(6;11)(q27,q23)
MLL gene(+)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 光顕的ではAMLの範疇で、表現型ではBリンパ系をも支持するものであり双方の混在を考慮すべきものとなった。
MLL遺伝子も証明され、WHO分類の系統不詳の急性白血病(biphenotypic type)として診断された。
ANLL93プロトコールにて治療が開始され、約9ヶ月後、同種骨髄移植が施行され、day120で退院となった。