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 RCMDは複数血球系統に数的減少と血球異形成がみられるもので、骨髄芽球は末梢血で認めないことが多く、骨髄では5%以下とされる。FAB分類でRAに分類されていた症例の多くが本型に入る。本型に環状鉄芽球を15%...
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 RCMDは複数血球系統に数的減少と血球異形成がみられるもので、骨髄芽球は末梢血で認めないことが多く、骨髄では5%以下とされる。FAB分類でRAに分類されていた症例の多くが本型に入る。本型に環状鉄芽球を15%以上認める例はRCMD with ringed sideroblast(RCMD-RS)とされる。
 臨床的には血球減少に伴って貧血や易感染性や出血傾向が現れる。
骨髄では血球異形成が各系列で10%以上認めれば本型の範疇となる。通常アウエル小体は認めないとされる。
 欧米での生存期間中央値は33ヶ月で、RAやRARSよりも予後が悪いとされる。また急性白血病への移行率は11%とされる。
     
 本例は、汎血球減少症のもと、大球性正色素性貧血を呈した血液像で、芽球はみられず奇形赤血球を認めた。骨髄で芽球が5%以下(実際は4%)、3系統の形態異常が顕著であることなどよりMDSの多血球系異形成を伴う不応性血球減少症(RCMD)に相当するものと思われた。
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■症例詳細データ
FAB分類 > その他
性別
年齢 70-74
取得年代 2000-2004
主訴 倦怠感、易感染性。
既往歴 特になし。
現病歴 血球減少に伴う貧血症状や易感染性を認める。
軽度の出血傾向を認める。
肝脾腫(-)、リンパ節腫脹(-)。
検査所見 WBC 1,580/μl (芽球0, St-Seg31, Ly63, Eo1, Ba1, Mo2%)RBC 205万/μl、Hb 8.1g/dl、Ht 24.4%、PLT 5.1万/μl、MCV 119.0fl、MCH 33.2pg、MCHC 33.1%、NCC 38.3万/μl、MgK 15.0/μl (芽球4%)、TP 7.7g/dl、BUN 17.5mg/dl、AST 21IU/l、ALT 11IU/l、LD 423IU/l、UA 5.3mg/dl、CRP 0.09mg/dl、T.Bil 0.7mg/dl、Fbg 362mg/dl
末梢血所見 大球性正色素性貧血のもと汎血球減少の血液像にて芽球はみられず奇形赤血球を認めた。
骨髄所見 過形成像にて赤芽球の増加がみられた。
赤芽球には多核、核異型性や巨赤芽球様変化が、顆粒球には低顆粒や2核が、血小板系には小型巨核球がみられた。
肝心の芽球はNEC(赤芽球を除く)中の4%にみられた。
細胞化学所見 PO染色は顆粒球系に陽性のようであるが、陽性態度から染色性に問題がありそうである。
赤芽球はPAS染色に陰性、Fe染色にも陰性であった。
小型巨核球はPAS染色にび慢性の陽性を示した。
形態診断 骨髄で3系統の形態異常が顕著であることと、末梢血の芽球は0%、骨髄は4%よりMDSの多血球系異形成を伴う不応性血球減少症(RCMD)に相当するものと思われた。
免疫学的所見 CD13(92.3%)、CD33(44.7%)、CD34(85.7%)、CD41(25.9%)、HLA-DR(93.8%)
分子生物学的所見 ①46,XY,+1,der(1;7)(q10;p10)[11]
②46,XY[9]
③WT1mRNA:5,200コピー/μgRNA
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 芽球の割合と3系統の形態異常からMDS-RCMDと診断された。
診断後、経過観察をしていたが、血球減少の進行と全身倦怠感が強くなった。その後、Low dose AraC療法の予定であったが、家族、本人が希望しないため輸血のみの治療にて外来にて経過観察となる。診断約2年後、呼吸困難が強く肺炎の診断で入院となった。起因菌は陰性、有意な菌は認められなかった。