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 形質細胞骨髄腫は通常、末梢血に骨髄腫細胞が出現することは稀である。末梢血に骨髄腫細胞が2,000/μl以上または白血球数の20%以上を占めた場合を形質細胞白血病(PCL)と診断する。
本症は初診からPCLの病像...
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 形質細胞骨髄腫は通常、末梢血に骨髄腫細胞が出現することは稀である。末梢血に骨髄腫細胞が2,000/μl以上または白血球数の20%以上を占めた場合を形質細胞白血病(PCL)と診断する。
本症は初診からPCLの病像を呈する一次性PCLと形質細胞骨髄腫の経過中に合併する二次性PCLがある。Bence-Jones(BJ)型やIgD型が多く予後は不良とされる。
     
 本例は、末梢血、骨髄に増加する形質細胞は腫瘍性増殖を呈し、
cIgA(λ)が陽性で末梢血の著増より形質細胞白血病と診断された。
骨病変や痛みは少なく、高Ca血症や腎不全がみられた。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 慢性 (成熟型) リンパ性白血病 (CL... > B細胞白血病 > 形質細胞性白血病 (PCL)
性別
年齢 50-54
取得年代 2000-2004
主訴 貧血。
既往歴 特になし。
現病歴 貧血を指摘され紹介来院し、血小板減少、白血球増加を精査するため骨髄穿刺がなされた。
肝脾腫(+)、リンパ節腫(-)。
検査所見 WBC 14,500/μl (At.Ly様.75%)
RBC 286万/μl、Hb 10.2g/dl、Ht 25.6%、PLT 7.6万/μl、
MCV 89.5fl、MCH 35.7pg、MCHC 39.8%、
NCC 16.2万/μl、MgK 0/μl (Mo.92%)、
LDH 690IU/l、Ca 15.6mg/dl
末梢血所見 白血球増加(14,500/μl)にて好塩基性の細胞質に核偏在性のリンパ球系細胞が75%みられた。
それらは好中球大で、核は円形~類円形、クロマチンは粗造で核小体は不明瞭である。
骨髄所見 正形成像にてリンパ球系細胞は84%みられた。
骨髄でのリンパ球系細胞は中等度の好塩基性を有し核は偏在傾向で核形不整や核分葉がみられた。
形態学的には形質細胞を思わせるものであった。
骨髄ではグレープ細胞や骨髄セルブロックではDucher体がみられた。
細胞化学所見 形質細胞はPO染色、PAS染色に陰性であった。
ACP染色では細胞質一面に強陽性がみられた。
形態診断 末梢血に75%、骨髄に84%と著増するリンパ球系細胞は形態学的には形質細胞であることより形質細胞腫瘍を疑った。
なかでも末梢血の75%は形質細胞白血病の診断基準の20%をはるかに超えるものから形質細胞白血病を考えた。
免疫学的所見 【FCM:フローサイトメトリー】
CD38(+)、cIg(+)、sIg(-)
【免疫染色】
cIgA(+)、λ(+)
分子生物学的所見 不詳。
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 末梢血、骨髄に増加する形質細胞は腫瘍性増殖を呈し、cIgA(λ)が陽性で末梢血の著増より形質細胞白血病と診断された。
骨病変や痛みは少なく、高Ca血症や腎不全がみられた。