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 ヘアリー細胞白血病(HCL)は円形核、明るい細胞質や細胞質に毛髪状
(ヘアリー様)の突起を有する小型のBリンパ球の腫瘍である。
腫瘍細胞は末梢血、骨髄に存在し骨髄と脾臓の赤脾髄ではび慢性の増殖を示し...
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 ヘアリー細胞白血病(HCL)は円形核、明るい細胞質や細胞質に毛髪状
(ヘアリー様)の突起を有する小型のBリンパ球の腫瘍である。
腫瘍細胞は末梢血、骨髄に存在し骨髄と脾臓の赤脾髄ではび慢性の増殖を示し、また表現型ではCD11c、CD22、CD103、FMC7が強く発現する。
脾腫と汎血球減少が多くの症例でみられ、末梢血ではヘアリー細胞を認める。ACP染色では散在性に陽性で通常は酒石酸抵抗試験に陽性である。
ヘアリー様構造は位相差顕微鏡下でさらに強調される。
     
 本例は、形態学的には、円形核の小型~中型リンパ球で細胞質には特有のヘアリー様の形態を示したことと表現型よりHCLと診断された。
表現型はCD11c(63%)、CD19(75%)、CD20(82%)、CD22(67%)、HLA-DR(70%)、FMC7(82%)、IgG(84%)、IgA(44%)、Igk(1%)、IgL(15%)であった。
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■症例詳細データ
性別
年齢 55-59
取得年代 1985-1989
主訴 軟骨痛。
既往歴 特になし。
現病歴 軟骨痛、脾腫(5fb)、肝腫(-)、浮腫(-)、リンパ節腫(-)
検査所見 【初発より5年後の入院時】
WBC 196,900/μl (Ab.ly86.5%, St-Seg12.5, Ly1.0)
RBC 292万/μl、Hb 9.1g/dl、Ht28.6%、
MCV 97.9fl、MCH 31.1pg、MCHC 31.8%、PLT 14.5万/μl、NCC 30.5万/μl、Mgk 16/μl (Ab.ly84.4%)、LD 717IU/l、TP 6.3g/dl、Ca 8.6mg/dl、UA 3.8mg/dl、
IgG 935mg/dl、IgA 158mg/dl、IgM 52mg/dl
末梢血所見 白血球著増の分類では、円形核で細胞質にヘアリー様の突起を有するリンパ球が86.5%と増加していた。塗抹標本の引き終わりの方では、ヘアリー様の形態は目玉焼き状にもみられた。
骨髄所見 骨髄標本は提示していないが、正形成像の骨髄では末梢血と同様な形態を示すヘアリー(HCL)様細胞 が84.4%みられた。
細胞化学所見 HCL細胞はACP染色に散在性に陽性で酒石酸抵抗試験で感受性であった。一般にHCL細胞はACP陽性の酒石酸抵抗試験に抵抗性を示すとされている。
他に、PO染色、PAS染色に陰性であった。位相差顕微鏡所見でもリンパ球にはヘアリー様の突起がみられた。
形態診断 末梢血の特徴あるヘアリー様細胞はHCLを疑うものであった。
形態学的には、円形核の小型~中型リンパ球で細胞質には特有のヘアリー様の形態を示した。
表現型にてB cellを証明しなければならない。
免疫学的所見 CD11c(63%)、CD19(75%)、CD20(82%)、CD22(67%)、HLA-DR(70%)、FMC7(82%)、IgG(84%)、IgA(44%)、Igk(1%)、IgL(15%)
分子生物学的所見 【骨髄の染色体】
①46,XX (20/20)
リンパ節所見 生検は未施行。
臨床診断 HCLの初診後、IFN-αの治療が開始されたがIFNの副作用により中止となる。5年後、臨床状態の悪化に伴いWBCの著増により入院となりDeoxycoformicinによる治療開始するも副作用のため中止となる。
今回、2-CdAのphaseⅡstudyに参加のため再入院となる。
[本例は某院より相談を受けた症例である]