■ご利用に際して

本サイトは、厚生労働省がん研究助成金総合研究事業および、厚生労働省第3次対がん総合戦略研究事業にて構築され、2014年3月にその事業を終了しております。現在サイトに掲載されている内容は当時の登録状況のまま公開しているため、必ずしも最新の医療に沿う内容ではない場合がございます。ご注意ください。

ご不明点がありましたら九州がんセンターまでお問い合わせください。

JapaneseEnglish

 本例は形態学的所見から骨髄の腫瘍細胞は腺管由来の配列と思われ、骨生検では管状構造あるいは篩状構造を有する異型細胞の増殖がポイントで、それにPSAの高値より前立腺を原発とする前立腺癌(分化型)が推測され...
(続きを読む)
 本例は形態学的所見から骨髄の腫瘍細胞は腺管由来の配列と思われ、骨生検では管状構造あるいは篩状構造を有する異型細胞の増殖がポイントで、それにPSAの高値より前立腺を原発とする前立腺癌(分化型)が推測された。画像診断より原発巣は前立腺であった。
(たたむ)

■症例詳細データ
性別
年齢 80-84
取得年代 2000-2004
主訴 腰痛。
既往歴 特になし。
現病歴 腰痛を主訴として来院し、末梢血異常の精査を目的に骨髄検査が実施された。
検査所見 WBC 3,900/μl (My1, Met1, St7, Seg49, Ly31, Mo6%, Ebl3/100w)
RBC 212万/μl、Hb 6.5g/dl、Ht 20.0%、PLT 26.5万/μl
MCV 94.3fl、MCH 30.6pg、MCHC 32.5%、
LD 660IU/l、ALP 139IU/l、PSA 170ng/ml (0~3.6)、T-bil 1.6mg/dl
末梢血所見 汎血球減少にて幼若顆粒球と赤芽球の出現より白赤芽球症(leukoerythroblastosis)がみられた。これは、骨髄造血細胞の悪性腫瘍細胞による置換と骨髄構築の破壊を強く示唆する所見である。芽球の出現はみられなかった。
骨髄所見 大きな細胞集塊の一部に上皮結合がみられる腫瘍細胞が散見された。それらは、類円形の核を一端に有する円柱状細胞からなり、腺管由来を思わせる細胞配列もみられ、分化度の高い腺癌細胞の集塊を考えた。
細胞化学所見 腫瘍細胞はPO染色に陰性であった。
形態診断 腫瘍細胞は末梢血にもみられ、骨髄では腺管由来を思わせる細胞配列がみられ、分化度の高い腺癌細胞の集塊を考えた。
免疫学的所見 未施行。
分子生物学的所見 未施行。
リンパ節所見 【骨生検所見】
腫瘍細胞周辺に著明な繊維化がみられ、管状構造あるいは篩状構造を有する異型細胞の増殖があり、造血細胞はほとんどみられない。PSA(前立腺特異抗原)の高値は、この組織に由来すると考えられた。
臨床診断 形態学的所見から骨髄の腫瘍細胞は腺管由来の配列と思われ、骨生検では管状構造あるいは篩状構造を有する異型細胞の増殖がポイントで、それにPSAの高値より前立腺を原発とする前立腺癌(分化型)が推測された。画像診断より原発巣は前立腺であった。
*腺癌の骨髄転移:原発;前立腺癌(分化型)