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 本例は、腺管形成が減少し、核小体の目立つ異型細胞の充実性増殖から低分化腺癌の骨髄転移像と診断された。画像診断より原発巣は胆嚢と考えられた。
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 本例は、腺管形成が減少し、核小体の目立つ異型細胞の充実性増殖から低分化腺癌の骨髄転移像と診断された。画像診断より原発巣は胆嚢と考えられた。
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■症例詳細データ
性別
年齢 55-59
取得年代 2000-2004
主訴 全身倦怠感、紫斑。
既往歴 未詳。
現病歴 未詳。
検査所見 WBC 4,000/μl (芽球1, Promy2, My12, Met8, St10, Seg51, Ly11, Mo1, 不明細胞4, Ebl 2/100w)、
RBC 219万/μl、Hb 6.9g/dl、Ht 20.0%、PLT 8.0万/μl
MCV 91.3fl、MCH 31.5pg、MCHC 34.5%、NCC 3.5万/μl 、
CEA 1,000ng/ml (0~2.5)
末梢血所見 汎血球減少症と白赤芽球症にて、好中球よりやや大きめの異型細胞を4%認めた。
裸核状で僅かにレース状の細胞質がうかがえる程度であった。少数ながら単一性の様式より悪性を疑う所見と思われた。
骨髄所見 骨髄における異型細胞はシート状の集塊としてみられ、好塩基性の細胞質、細かいクロマチン、類円形の核小体など、また粘液産生もみられた。
また相互圧排像をとり、活発な細胞増殖による隣接細胞への圧迫像は上皮性結合を有する細胞塊として捉えた。
細胞化学所見 腫瘍細胞はPO染色に陰性であった。PAS染色ではび慢性から滴状の陽性がみられ、CEA染色(右)では強度のび慢性陽性がみられた。
形態診断 骨髄の腫瘍細胞は、核偏在性で類円形の大きな核小体を有し、好塩基性の細胞質には粘液産生を思わせるものがみられた。集塊はシート状や上皮性結合として解釈すると、腺癌細胞の骨髄転移と考えた。
PAS染色の陽性は粘液産生を支持するものであり、CEA染色の陽性は腫瘍性を裏付けるものであった。
免疫学的所見 免疫酵素抗体染色のCEA染色で腫瘍細胞はび慢性の陽性であった。
分子生物学的所見 未詳。
リンパ節所見 【骨生検所見】
骨形成性で腫瘍細胞巣が骨梁間に充満していた。腺管形成は減少し、核小体の目立つ異型細胞の充実性増殖がみられた。
臨床診断 腺管形成は減少し、核小体の目立つ異型細胞の充実性増殖から低分化腺癌の骨髄転移像と診断された。画像診断より原発巣は胆嚢と考えられた。
*腺癌の骨髄転移:原発;胆嚢癌(低分化型)