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 本例は、臨床的に孤立性脾腫がみられ、末梢血、骨髄に前リンパ球の浸潤がみられ、その表現型でCD20、CD22の陽性、表面免疫グロブリン(sIgM+IgD)の発現が強度であったことよりB細胞性前リンパ球性白血病(B-PLL)...
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 本例は、臨床的に孤立性脾腫がみられ、末梢血、骨髄に前リンパ球の浸潤がみられ、その表現型でCD20、CD22の陽性、表面免疫グロブリン(sIgM+IgD)の発現が強度であったことよりB細胞性前リンパ球性白血病(B-PLL)と診断された。慢性リンパ性白血病(CLL)おけるリンパ球の形態に比べると、やや大型で、核形不整や明瞭な核小体がみられ、sIgの発現が強いことが鑑別ポイントになる。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 慢性 (成熟型) リンパ性白血病 (CL... > B細胞白血病 > B細胞性前リンパ球性白血病 (B-PLL...
性別
年齢 60-64
取得年代 1995-1999
症例の種類 典型例
主訴 白血球増加、脾腫
既往歴 特になし
現病歴 巨大脾腫(6cm)、リンパ節腫(-)
検査所見 WBC 56,800/μl(前リンパ球様90%)
RBC 348万/μl、Hb 10.9g/dl、Ht 32.4%、MCV 93.1fl、PLT 11.2万/μl、
NCC 13.4万/μl
末梢血所見 白血球増加(56,800/μl)の分類にてリンパ球様が90%(51,120/μl)と増加していた。
それらは細胞径が14~16μmで、N/C比が高く、クロマチンは粗網状で、核形不整や明瞭な核小体が目についた。形態的には前リンパ球(prolymphocyte)を思わせるものであった。
骨髄所見 骨髄においてはリンパ球様が85%を占め、なかでも末梢血と同様な形態を有する前リンパ球が65%みられた。
細胞化学所見 PO染色は陰性で、PAS染色、EST染色も陰性であった。
形態診断 末梢血、骨髄ともに前リンパ球の増加を認めたため、前リンパ球性白血病 (PLL)を疑った。
なかでも、末梢血における前リンパ球の割合(90%)は、MeloらのPLLの診断基準(1987.前リンパ球が55%以上を占める)を十分に満たすものでありPLLの診断を支持するものであった。核形不整と明瞭な核小体を有することから、Galtonら(1974)の分類に従うとcleft typeを考えた。
免疫学的所見 CD19+, CD20+, FMC7+, sIgM+sIgD
分子生物学的所見 46,XY
リンパ節所見 ND
臨床診断 臨床的に孤立性脾腫がみられ、末梢血、骨髄に前リンパ球の浸潤がみられ、その表現型でCD20、CD22の陽性、表面免疫グロブリン(sIgM+IgD)の発現が強度であったことよりB細胞性前リンパ球性白血病(B-PLL)と診断された。慢性リンパ性白血病(CLL)おけるリンパ球の形態に比べると、やや大型で、核形不整や明瞭な核小体がみられ、sIgの発現が強いことが鑑別ポイントになる。