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Langerhans細胞組織球症
 病因は不明で何らかの免疫異常と考えられ、病態にはサイトカインの関与が示唆されている。Langerhans(LH)細胞はIL-1やPGE2を産生し、破骨細胞を活性化して骨融解を来たす。IL-1はCD4+...
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Langerhans細胞組織球症
 病因は不明で何らかの免疫異常と考えられ、病態にはサイトカインの関与が示唆されている。Langerhans(LH)細胞はIL-1やPGE2を産生し、破骨細胞を活性化して骨融解を来たす。IL-1はCD4+細胞を刺激してIL-2やIFNγの産生を施す。これらのサイトカインはリンパ球や組織球を刺激しその増殖を促すと考えられている。小児例では年間約40例の報告がある(生嶋・今宿.1992)。LH細胞の浸潤臓器は皮膚、骨、リンパ節、軟部組織、肝、脾、肺、下垂体、骨髄、胸腺などがあり、細胞増殖に伴う腫瘍形成や臓器不全を主徴とする。これらの症状として、貧血、血小板減少、肝障害、呼吸器不全、尿崩症などを起こす。胸腺不全は血清中のチムリンの低下や末梢血CD8の減少がみられる。
 診断には生検組織よりhistiocytosisX細胞(LH細胞)の増殖を認めることとそれらはS-100蛋白陽性、CD1a陽性で、電顕ではBirbeck顆粒が証明される。
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■症例詳細データ
FAB分類 > その他
性別
年齢 00-04
取得年代 1990-1994
症例の種類 希少例
主訴 発熱
既往歴 特になし
現病歴 発熱、鼠径部リンパ節腫脹。
検査所見 RBC 394万/μl、Hb 9.6g/dl、Ht 36.1%、MCV 91.6fl、PLT 24.5万/μl
WBC 8,800/μl、NCC 21.5万/μl
末梢血所見 白血球は正常(8,800/μl)の分類にて特に異常はみられなかった。
骨髄所見 骨髄のM-E比(myeloid3:erythroid1)は保持され、芽球の増加もなく、異常細胞も認めなかった。
細胞化学所見 特に異常なし
形態診断 末梢血、骨髄ともに異常所見はみられず、リンパ節腫大に伴うリンパ節生検の診断を待つことになった。
免疫学的所見 ND
分子生物学的所見 ND
リンパ節所見 鼠径リンパ節生検スタンプ標本の低倍率では大型の単球様細胞の増殖がうかがえ腫瘍性を疑った。細胞径は16~25μmで、N-C比は低く、核形は類円形~楕円形で核形不整、主体の単核以外に多核もみられた。核形不整は木の葉状で、縦軸に皺状のコーヒー豆状核が特徴的であった。クロマチンはリンパ腫細胞に比べると繊細で、小さいながらも核小体を有し、細胞質の好塩基性は軽度~中等度で顆粒は認めなかった。
これらはPO染色に陰性、ブチレートEST染色に陽性であり、表現型や免疫組織染色ではHLA-DR、S-100蛋白、CD1a、CD4が陽性であった。
臨床診断 鼠径リンパ節生検スタンプ標本にて増殖する細胞は木の葉状でコーヒー豆状核を呈し、それらはブチレートEST染色陽性、表現型や免疫染色でS-100蛋白、CD1a、CD4が陽性であったことより、細網内皮症HistiocytosisXと診断された。電顕所見としてBirbeck顆粒も認められた。