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 真性赤血球増加症(多血症)の診断基準として米国真性赤血球増加症研究グループ(PVSG.1968)によるものを紹介する。
まず、①瀉血以外の治療をしたことがない。②4年以内に診断されたものが
対象となり以下の...
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 真性赤血球増加症(多血症)の診断基準として米国真性赤血球増加症研究グループ(PVSG.1968)によるものを紹介する。
まず、①瀉血以外の治療をしたことがない。②4年以内に診断されたものが
対象となり以下の基準がある。
【基準A】
1.循環赤血球量:男36ml/kg,女32ml/kg
2.動脈血酸素飽和度:92%以上
3.脾腫
【基準B】
1.血小板40万/μl以上
2.白血球12,000/μl以上
3.NAP高値
4.VB12-900pg/ml以上または不飽和VB12結合能2,200pg/ml以上
【診断】
A1+A2+A3
A1+A2+Bのうち2項目以上を満たせばPVと診断する。
     
WHO分類(2001)では、この他に①Hbが男性で18.5g/dl以上、女性で16.5g/dl以上、②骨髄細胞にクローナルな遺伝子異常、③内因性赤芽球コロニー形成などを認めるとしている。WHO(2008)では、JAC2チロシンキナーゼ遺伝子変異を認めるとされる。
(たたむ)

■症例詳細データ
FAB分類 > その他
性別
年齢 45-49
取得年代 2000-2004
症例の種類 典型例
主訴 全身倦怠感、顔面紅潮
既往歴 特になし
現病歴 顔面紅潮、肝脾腫(+)
検査所見 RBC 695万/μl、Hb 18.0g/dl、Ht 54.7%、MCV 78.7fl、MCH 25.9pg、MCHC 32.9%、PLT 69.8万/μl
WBC 20,900/μl、NCC 68.2万/μl、MgK135/μl、LD 470IU/l、UA 8.8mg/dl、VB12 1100pg/ml
NAP (PR 92%, PS385)、動脈血酸素飽和度93%、循環血球量62.3ml/kg
末梢血所見 三系統の増加がみられた。白血球増加(20,900/μl)の分類はSt.3%、Seg67%、Ly17%、Mo7%、Eo2%、Ba4%であった。好中球の増加(14,630/μl)と好塩基球の増加(1,421/μl)がみられた。他に赤血球の増加(695万/μl)については若干の小球性でありながら一部に奇形赤血球や小型赤血球を認め、血小板増加(69.8万/μl)については一部に巨大血小板を認めた。
骨髄所見 過形成像では汎骨髄症panmyelosisによる三系統の増加がみられ、M/E比は1.3とやや赤芽球系が優位であった。芽球の増加はなく、形態異常については各々に若干は認める程度であった。巨核球数も増加し、アズール顆粒の旺盛な成熟型が大半であった。
細胞化学所見 末梢血の増加する好中球に対するNAP染色で陽性率92%、陽性指数385と高値であった。
骨髄の赤芽球に対するPAS染色やFe染色は所見たるものはみられなかった。
形態診断 末梢血は三血球の著増と骨髄は過形成で三系統が増加し、芽球の増加がみられないことより骨髄増殖性疾患を考えた。本例は女性でありながら赤血球の増加が特徴の1つと思え多血症を前提に考慮することにした。
免疫学的所見 N.D
分子生物学的所見 46,XX
リンパ節所見 N.D
臨床診断 PVSG(1968)のPVの診断基準より、循環血球量の増加(62.3mg/kg)、動脈血酸素飽和度(正常)、
脾腫、白血球増加、血小板増加、NAP上昇、VB12上昇(1100pg/ml)より、PVの診断基準を満たすものとして真性赤血球増加症と診断された。Ph染色体は陰性であった。