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 本例は発症年齢、治療経過中の硬膜下水腫の出現、ウイルス抗体価の変動、再燃などから家族性赤血球貪食性リンパ細網症が疑われた。ポイントになる組織球は未熟型よりも成熟型が多く、しかも血球の貪食が旺盛で...
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 本例は発症年齢、治療経過中の硬膜下水腫の出現、ウイルス抗体価の変動、再燃などから家族性赤血球貪食性リンパ細網症が疑われた。ポイントになる組織球は未熟型よりも成熟型が多く、しかも血球の貪食が旺盛で、EB-ウイルスの抗体価が証明されなかったことより血球貪食症候群と診断された。本例は血液培養にてstaphylococcus aureusが検出され敗血症を合併していた。
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■症例詳細データ
性別
年齢 00-04
取得年代 1995-1999
主訴 発熱、意識障害
既往歴 特になし
現病歴 胸部に小丘疹が出現し、感冒症状、左下腿の腫脹と発熱のため近医を受診する。蜂窩識炎のため某院入院となる。右足底の腫脹と硬結が出現し、発赤が前胸部、下肢へと広がった。その後、血小板減少と肝障害が出現し、プレドニゾロンが投与されたが、高熱は持続し、発疹も同じような経過をたどった。意識障害と呼吸障害がみられ、当院に緊急入院となる。腹部膨満(肝臓7cm、脾臓はわずかに触知)。
検査所見 WBC3,480/μl、RBC348万/μl、Hb 8.8g/dl、Ht26.0%、MCV74.7fl、PLT21.3万/μl、BM-NCC5.6万/μl、LDH 84,100U/l、AST11,010U/l、ALT24,700U/l、PT45秒以上、APTT150秒以上、Fbg50mg/dl以下、HPT7.5%、TT10.5%、FDP53.1μg/ml、Ferritin139722ng/ml、CRP5.4mg/dl、EB-VCAIgG(-)、EB-EBNAIgG(-)、Cytomegalovirus(+)
末梢血所見 白血球減少(3,480/μl)にて異型リンパ球様細胞が26%、単球が11.0%、リンパ球が44.5%みられた。異型リンパ球様細胞はN/Cは低く、核形不整がみられ、クロマチンは粗鋼で核小体は不明瞭、細胞質は好塩基性がみられることで反応性に出現した異型リンパ球がうかがえる。一方、単球は大型で組織球様や活性化した単球にもみえる。
骨髄所見 低形成像で、造血細胞に混じり血球の貪食像みられる。おそらく成熟組織球が白血球や赤芽球を貪食したものと思われ、これが二血球減少の原因と思われる。周囲には単球や未熟な組織球もみられる。
細胞化学所見 一連の組織球はPO染色に一部陽性のものがあり、ブチレートEST染色に陽性でNaFに抵抗性を示すものがあり単球よりも組織球をうかがわせるものであった。
形態診断 骨髄の単球や一連の組織球には血球貪食が著しいことより広義の血球貪食症候群を疑った。
免疫学的所見 N.D
分子生物学的所見 46,XY
リンパ節所見 N.D
臨床診断 発症年齢、治療経過中の硬膜下水腫の出現、ウイルス抗体価の変動、再燃などから家族性赤血球貪食性リンパ細網症が疑われた。ポイントになる組織球は未熟型よりも成熟型が多く、しかも血球の貪食が旺盛で、EB-ウイルスの抗体価が証明されなかったことより血球貪食症候群と診断された。本例は血液培養にてstaphylococcus aureusが検出され敗血症を合併していた。