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 ゴーシェ病(Gaucher's disease)はPhilippe Gaucher(フランス.1882)によって発見された病気で、遺伝的要因により生まれつきグルコセレブロシダーゼという酵素が不足であったり欠損していたりして活性が低下す...
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 ゴーシェ病(Gaucher's disease)はPhilippe Gaucher(フランス.1882)によって発見された病気で、遺伝的要因により生まれつきグルコセレブロシダーゼという酵素が不足であったり欠損していたりして活性が低下するため、グルコセレブロシド(糖脂質)をセラミドに分解できず、肝臓、脾臓、骨などにグルコセレブロシドが蓄積してしまう疾患である。またゴーシェ病は、ライソゾーム病、先天性代謝異常症、常染色体劣性遺伝に分類される。世界で確認されている患者数は約5,000人で、国内では100人に満たない程度という希少な難病である。
 本例は、骨髄のゴーシエ細胞の出現はACP染色に強陽性で血清酸ホスファターゼ活性が高値であり、追加検査で行ったβ-D-glucosidase活性が欠如していたことで、巨大肝脾腫を主徴とした脂質蓄積症のGaucher病と診断された。この酵素異常は1番染色体のq21に座位する遺伝子の突然変異によるものが多いとされる。
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■症例詳細データ
性別
年齢 00-04
取得年代 1995-1999
症例の種類 希少例
主訴 汎血球減少症
既往歴 アトピー性皮膚炎 (生後8ヶ月)
現病歴 1歳8ヶ月に肝脾腫が増大し、汎血球減少を指摘され当院当科へ入院となる。出血斑はないが、額、両耳介周囲、頸部に湿疹あり、左頸部と両鼠径部にリンパ節腫脹を認める。肝腫は右季肋下約12cm、辺縁は鈍で、左季肋下約15cm触知する。顔貌は異常なし。
検査所見 WBC3,100/μl、RBC345万/μl、Hb8.0g/dl、Ht25.4%、MCV73.7fl、PLT5.3万/μl、BM-NCC8,000/μl、LDH833U/l、Fe54μg/dl、UIBC428μg/dl
【追加検査】血清酸ホスファターゼ186.5(8.0~17.0)U/l、アンギオテンシン転換酵素118.0(6.0~22.0)U/l、β-D-galactosidase148.7(102.3~180.7)nmol/mg/h、β-D-glucosidase 0(2.4~8.2)nmol/mg/h 、アミノ酸分析・有機分析(異常なし)
末梢血所見 白血球減少(3,100/μl)にて血液像に特に異常なみられなかった。
骨髄所見 低形成像にて50μm大の大型細胞が散見された。形態所見から網内系(RES)、マクロファージを思わせた。特徴的な所見は広い細胞質は中等度の好塩基性で、まるで猫が爪でひかいたときのような筋の様としてみえる。従ってゴーシエ(Gaucher)様細胞として捉えた。
細胞化学所見 ゴーシエ様細胞はPO染色に陰性、PAS染色にび漫性陽性、ACP染色にび漫性の強陽性を呈した。
形態診断 骨髄の大型細胞はゴーシエ様細胞であり、周囲は低形成ながら芽球の増加はなく正常クローンの細胞様式から本細胞の原因追求が急務と思われた。
免疫学的所見 N.D
分子生物学的所見 N.D
リンパ節所見 N.D
臨床診断 骨髄のゴーシエ細胞の出現はACP染色に強陽性で血清酸ホスファターゼ活性が高値であり、追加検査で行ったβ-D-glucosidase活性が欠如していたことで、巨大肝脾腫を主徴とした脂質蓄積症のGaucher病と診断された。この酵素異常は1番染色体のq21に座位する遺伝子の突然変異によるものが多いとされる。