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 本例は、Kostmann症候群診断後、皮膚感染、扁桃炎、尿路感染、肺炎などを繰り返し、抗生剤G-CSFで治療されていたが、2歳頃より形態異常や7monosomyを認めたことよりMDS-RAと診断された。3歳頃よりブチレート陽...
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 本例は、Kostmann症候群診断後、皮膚感染、扁桃炎、尿路感染、肺炎などを繰り返し、抗生剤G-CSFで治療されていたが、2歳頃より形態異常や7monosomyを認めたことよりMDS-RAと診断された。3歳頃よりブチレート陽性・NaFに阻害された分化型の単球性白血病(M5b)に移行した。
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■症例詳細データ
性別
年齢 00-04
取得年代 2005-2009
主訴 発熱
既往歴 特になし
現病歴 【経過】近院にて胎児切迫仮死による帝王切開によって出産。在胎38週、出生体重2,686g。生後3日に哺乳力低下、肛門周囲の発赤、肝脾腫を認めた。この時点でWBC11,960/μl (好中球7%、リンパ球72%、単球21%)、CRP20.4mg/dlであった。肛門周囲の炎症部よりPseudomonous aeruginosaが検出され、抗生剤にて軽快、その後も皮膚の炎症、発熱を繰り返すため当院に転院となる。【初診時】全身状態良好、肝腫、脾腫大あり、両耳介後部に膿痴疹散在、肛門部3時の方向に切痕あり。
【2歳頃】肝脾腫、リンパ節腫脹を来し、輸血を必要とする貧血、血小板減少が持続した。
【3歳頃】白血球著増より急性白血病(AML-M5b様)へ転化した。
検査所見 【初診時】WBC4,100/μl (St-Seg2,Eo3,Ba2,Ly71,Mo22%)、RBC193万/μl、Hb6.1g/dl、Ht17.8%、MCV92.2fl、MCH31.6pg、MCHC34.3%、PLT2.3万/μl、NCC24.5万/μl 、LDH483IU/l、TP5.3g/dl、CRP1.5mg/dl、T-bil.0.3mg/dl
【2歳頃】貧血の進行、血小板減少の持続
【3歳頃】WBC246,900/μl、Hb5.1g/dl
末梢血所見 【初診時】白血球減少(4,100/μl)のもと、顆粒球系の著減(好中球82μl,顆粒球287/μl)が目立ち、相対的にリンパ球および単球の増加がみられた。単球は成熟型であった。
【2歳頃】貧血の進行に伴い形態異常を認める。
【3歳頃】芽球の増加とともに単球の増加がみられた。
骨髄所見 【初診時】骨髄は正形成であり、顆粒球・赤芽球・リンパ球系の比率は1:2:4でリンパ球が優位であった。リンパ球系は小型でN-C比は高く、クロマチンは粗荒で形態異常は認められず、一部に大型の芽球様細胞もみられた。
【2歳頃】骨髄にて幼若型顆粒球系や赤芽球系に二核のものや成熟型に核異型性などの形態異常がみられた。
【3歳頃】骨髄にて分化傾向を有する単球系の増加(M5b様)がみられた。
細胞化学所見 【初診時】骨髄で優位のリンパ系細胞はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性であった。
【2歳頃】骨髄のPAS染色で成熟型赤芽球にび漫性の陽性がみられた。
【3歳頃】芽球と単球にブチレートESTが陽性でNaFに阻害された。
形態診断 【初診時】二系統の減少より再生不良性貧血を考えたが、白血球数の著減はなく、しかも骨髄は正形成であり、好中球の極減を呈したことよりKostomann症候群を疑った。
【2歳頃】赤芽球系の形態異常やPAS陽性の赤芽球がみられ、7monosomyを認めたことよりMDS-RAを疑った。
【3歳頃】単球を含む単球系の増加はブチレートEST染色に陽性よりAML-M5bを疑った。
免疫学的所見 N.D
分子生物学的所見 【初診時】46,XX
【2歳頃】 45,XX,-7
【3歳頃】 45,XX,-7,add(18)(q23)
リンパ節所見 N.D
臨床診断 Kostmann症候群診断後、皮膚感染、扁桃炎、尿路感染、肺炎などを繰り返し、抗生剤G-CSFで治療されていたが、2歳頃より形態異常や7monosomyを認めたことよりMDS-RAと診断された。3歳頃よりブチレート陽性・NaFに阻害された分化型の単球性白血病(M5b)に移行した。