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 本例は、形態学的には骨髄増殖性腫瘍を疑いPh染色体とBCR-ABL遺伝子が証明されなかったことよりCMLは否定された。CNLについては量的には基準を満たすがNAPの低値が合致せず、MDSについては骨髄に赤芽球が存在し...
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 本例は、形態学的には骨髄増殖性腫瘍を疑いPh染色体とBCR-ABL遺伝子が証明されなかったことよりCMLは否定された。CNLについては量的には基準を満たすがNAPの低値が合致せず、MDSについては骨髄に赤芽球が存在しないことや好中球が無効造血を呈していないことなどが合致しない所見であった。末梢血、骨髄における顕著な顆粒球系の形態異常と+8の染色体異常を認めたことより非定型性慢性骨髄性白血病(aCML)と診断された。
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■症例詳細データ
性別
年齢 70-74
取得年代 2010-2014
主訴 全身倦怠感
既往歴 70歳時:右膝色素性絨毛結節性滑膜炎
現病歴 約2年前に右膝色素性絨毛結節性滑膜炎にて近医で貧血(Hb 7.0g/dl台)を指摘された。約1年後には血小板が75万/μlに増加したため骨髄検査が施行された。骨髄は過形成で、芽球が7.0%みられたためMDS-RAEBⅠと診断された。染色体は正常であった。その後、貧血が進行し(Hb 6.4g/dl)、好中球を主体とした白血球が5万/μlまで上昇したため当院に紹介入院となった。眼瞼結膜:貧血、肝脾腫(+)。腹部エコー:脾腫(100x70mm)。
検査所見 WBC51,200/μl(Blast3, My3, St5, Seg70, Ly19%, Ebl.1/100w)、RBC308万/μl、Hb8.6g/dl、Ht29.1%、MCV94.4fl、MCH27.9pg、MCHC29.6%、PLT12.5万/μl、NAP-score 57 、NCC53.4万/μl、Mgk250/μl、TP7.6g/dl、BUN16.2mg/dl、T-bil 0.6mg/dl、UA8.2mg/dl、AST26IU/l、ALT20IU/l、LDH640IU/l、VB12 6,220pg/ml、Folic acid 5.4ng/ml、Fe162μg/dl、CRP0.56mg/dl、IgG1,860mg/dl、IgA143mg/dl
末梢血所見 白血球増加(51,200/μl)にて芽球3%、骨髄球3%、赤芽球の出現もみられ、白赤芽球症を呈していた。好中球は分葉核が多く桿状核球を合わせ38,400/μlと著増していた。 好中球の細胞質にはデーレ様物質を認めるものもみられた。NAP染色の陽性スコアは57の低値であった。
骨髄所見 過形成の骨髄では、Blast5.0, Promy9.5, My9.5, Met 5.5, St 11.5, Seg41.5, Ba0.5, Ly6.0, Mo4.0, Plas1.0, Ebl 6.0%であった。M/Eは13.0で顆粒球系が優位であった。形態異常は顆粒球系に顕著で、好中球に偽ペルゲル核異常、大型、二核、低顆粒を認めた。また、小型巨核球がみられた。
細胞化学所見 PO染色に陰性の好中球がみられた。
形態診断 末梢血と骨髄所見から骨髄増殖性腫瘍を疑い、①NAPの低値より慢性骨髄性白血病(CML)、②白血球数と末梢血の好中球が25,000/μl以上より慢性好中球性白血病(CNL)、③顆粒球のみの形態異常より非定型性慢性骨髄性白血病(aCML)、④末梢血に芽球の出現より骨髄異形成症候群(MDS)を考えた。Ph/BCR-ABL遺伝子検査の結果を待つことになった。
免疫学的所見 CD13(+)、CD33(+)、HLA-DR(+)
分子生物学的所見 47,XY+8 [5/20]
Ph/BCR-ABL遺伝子(-)
リンパ節所見 N.D
臨床診断 形態学的には骨髄増殖性腫瘍を疑いPh染色体とBCR-ABL遺伝子が証明されなかったことよりCMLは否定された。CNLについては量的には基準を満たすがNAPの低値が合致せず、MDSについては骨髄に赤芽球が存在しないことや好中球が無効造血を呈していないことなどが合致しない所見であった。末梢血、骨髄における顕著な顆粒球系の形態異常と+8の染色体異常を認めたことより非定型性慢性骨髄性白血病(aCML)と診断された。