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 本例は、増殖する腫瘍細胞が皮膚ならびに骨髄に浸潤傾向が強く、しかも白血化を伴っていた。腫瘍細胞はCD4、CD56の発現がみられ、またCD123が高率に発現がみられたことより芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍と診断さ...
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 本例は、増殖する腫瘍細胞が皮膚ならびに骨髄に浸潤傾向が強く、しかも白血化を伴っていた。腫瘍細胞はCD4、CD56の発現がみられ、またCD123が高率に発現がみられたことより芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍と診断された。
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■症例詳細データ
性別
年齢 50-54
取得年代 2005-2009
主訴 発熱
既往歴 特になし
現病歴 発熱(38℃)が持続し血液検査にて末梢血に芽球様細胞を認めたため当院を紹介入院となった。頚部・鼠径部にリンパ節腫脹を認め、左下腿に無痛性隆起性紅斑を認めた。
検査所見 WBC12,100/μl(Blast+,Met1,St16%,Seg39%,Ly12%,
Mo28%,At.ly4%)、RBC415万/μl、Hb11.8g/dl、Ht34.5%、MCV93.1fl、MCH28.4pg、MCHC34.2%、PLT16.5万/μl、NCC25.4万/μl、PT16.0sec,PT-INR1.17,APTT46.2sec, Fibg593mg/dl, FDP3.0μg/ml,D-dimer0.9μg/ml、TP6.8g/dl、Alb.3.8g/dl、AST34IU/l、ALT20IU/l、LDH580IU/、BUN11mg/dl、Cre0.7mg/dl、UA6.0mg/dl、CRP10.9mg/dl、Ca8.3mg/dl, Ferritin892.4ng/ml
末梢血所見 白血球増加のもと芽球様細胞が散見された。それらは大型で、N/C比が低く、核小体が明瞭であった。他に好中球の左方移動や単球の増加 (3,388/μl)がみられた。
骨髄所見 骨髄は正形成で、芽球様細胞が30%みられた。それらは、大型で、N/C比が低く、クロマチンは粗網状で、一部に核形不整がみられ、明瞭な核小体が特徴的であった。豊富な細胞質は好塩基性が強度で核は偏在傾向であった。芽球様細胞の一部に微細なアズール顆粒を有するものがみられた。極一部に小型の巨核球がみられた。Blast30%,Promy15%,My5%,Met5%,St7%,Seg9%,Ly10%,Mo16%,Ebl3%
細胞化学所見 芽球様細胞はPO染色に一部陽性のものがみられた。EST二重染色で顆粒球はクロロアセテートに陽性で、単球はブチレートに陰性のものが多くみられた。
形態診断 芽球様細胞は大型で、N/C比が低く、PO染色に一部が弱陽性であったことから単芽球を思わせたが、ブチレートEST染色は陰性であった。核の偏在傾向の所見からは形質細胞を思わせたが確信的ではない。
免疫学的所見 骨髄細胞:CD4,CD13,CD33,CD43,CD56,CD64,HLA-DR,MPO,CD123(+)、T細胞受容体(-)。 骨髄クロット・皮膚生検:CD4,CD68,CD123(+)、CD3,CD20,MPO(-)。
分子生物学的所見 45,XY,-7 [20]
リンパ節所見 腫瘍細胞は中型の大きさで複数の核小体や細胞質には小空胞を有するものがびまん性の増殖を呈した。皮膚生検の所見も同様であった。
臨床診断 増殖する腫瘍細胞は皮膚ならびに骨髄に浸潤傾向が強く、しかも白血化を伴っていた。腫瘍細胞はCD4、CD56の発現がみられ、またCD123が高率に発現がみられたことより芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍と診断された。