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 本例は、骨髄に異常リンパ球と血球貪食細胞が増加し、骨髄セルブロック標本にて微小血管内に腫瘍細胞の浸潤を認め、CD20、CD79aが陽性であったことより血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)を疑った。なお神経...
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 本例は、骨髄に異常リンパ球と血球貪食細胞が増加し、骨髄セルブロック標本にて微小血管内に腫瘍細胞の浸潤を認め、CD20、CD79aが陽性であったことより血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)を疑った。なお神経症状を認めなかったことよりIVLBCLのAsian variantと診断された。
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■症例詳細データ
性別
年齢 70-74
取得年代 2010-2014
主訴 発熱、全身倦怠感
既往歴 肺結核(30歳頃)
現病歴 38℃の発熱が出現し倦怠感を来すようになったため当科を受診した。血液検査にて異常細胞が6%出現したため骨髄検査が施行された。
リンパ節腫(-)、肝脾腫(+)
検査所見 WBC4,620/μl (My2,Met3,St18,Seg30,Eo2,Ba1,Ly26,Mo12%,abnormal cells 6%)
RBC398万/μl、Hb9.8g/dl、Ht31.1%, PLT7.4万/μl, MCV78.1fl,MCHC31.5%
TP6.2g/dl、LDH4,782IU/l、 T-bil 0.8mg/dl、 AST139U/l、ALT31U/l、BUN21mg/dl、Crea0.6mg/dl、Ca8.1mg/dl、CRP1.2mg/dl、NCC21.6万/μl(abnormal cells 45%)
末梢血所見 白血球正常(4,620/μl)のもと、幼若顆粒球と桿状核球の増加に伴う左方移動がみられた。周囲には大型でN/C比が低く、明瞭な核小体を有する異常細胞が6%みられた。
骨髄所見 正形成の骨髄にて異常細胞が45%みられた。それらの一部には集塊を認め、大型で、N/C比が小さく、明瞭な核小体を有するもので異常リンパ球を思わせた。骨髄のセルブロック標本においても微小血管内に明瞭な核小体を伴った腫瘍細胞の浸潤がみられた。
細胞化学所見 腫瘍細胞はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性であった。
形態診断 末梢血、骨髄に出現する異常リンパ球はN/C比は低いものの、大型で明瞭な核小体を有する所見は核異型性をうかがうものであった。
免疫学的所見 骨髄のセルブロック標本における免疫染色でCD20、CD79aが陽性であった。鍍銀染色にて細網線維内に腫瘍細胞を認めた。
分子生物学的所見 46,XY [20]
リンパ節所見 N.D
臨床診断 骨髄にて異常リンパ球と血球貪食細胞が増加し、骨髄のセルブロック標本にて微小血管内に腫瘍細胞の浸潤を認め、CD20、CD79aが陽性であったことより血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)を疑った。なお神経症状を認めなかったことよりIVLBCLのAsian variantと診断された。