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 本例は、末梢血、骨髄に異常リンパ球を認め、それらは特徴ある核の形態像(cleaved)を呈した。リンパ節においても腫瘍細胞の増殖がみられ、それらはCD5陰性のB細胞性で14;18転座、IgH/BCL-2融合シグナルを認め...
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 本例は、末梢血、骨髄に異常リンパ球を認め、それらは特徴ある核の形態像(cleaved)を呈した。リンパ節においても腫瘍細胞の増殖がみられ、それらはCD5陰性のB細胞性で14;18転座、IgH/BCL-2融合シグナルを認めたことより濾胞性リンパ腫と診断された(grade2)。
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■症例詳細データ
性別
年齢 50-54
取得年代 2010-2014
主訴 全身倦怠感、呼吸困難
既往歴 特になし
現病歴 1か月前より全身倦怠感、労作時の呼吸困難を自覚した。腹部膨満による食事量の減少に伴う体重の減少(5kg)や盗汗がみられたため当科を受診した。眼瞼結膜に貧血や黄疸はなし。呼吸音は右下肺野で減弱。肝右季肋下4cm脾左季肋下15cm触知する。頚部リンパ節腫瘍を認める。
検査所見 WBC17,200/μl (St-Seg15, Ly81, Mo2, Eo2%)
RBC451万/μl、Hb14.6g/dl、Ht41.5%, MCV92.0fl、MCHC35.1%、PLT11.6万/μl
TP6.9g/dl、ALB3.4g/dl、AST30IU/l、ALT21IU/l、BUN13mg/dl、Cre0.8mg/dl、UA6.1mg/dl、
LDH180IU/l、CRP3.0mg/dl、sIL-2R 6,412U/ml、NCC14.2万/μl
末梢血所見 白血球増加(17,200/μl)に伴う末梢血液像ではリンパ球増加(81%)がみられた。それらは中型の大きさで、核中心に狭くて深い切れ込みがみられた。
骨髄所見 骨髄は正形成で異常リンパ球が85%みられた。それらは末梢血液像と同様に中型の大きさで核中心に狭くて深い切れ込みがみられた。
細胞化学所見 異常リンパ球はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性であった。
形態診断 末梢血、骨髄双方にみられる異常リンパ球は“くびれ”や“切れ込み”を有する特徴ある核の形態像から濾胞性リンパ腫を疑った。
免疫学的所見 CD2・CD3・CD4・CD5・CD7・CD8・CD13・CD33・CD34(-)、CD10・CD19・CD20・HLA-DR(+)、BCL-2(+)・λ(+)
分子生物学的所見 46,XY,t(14;18)(q32;q21) [18]
骨髄細胞のFISH法:IgH/BCL-2融合シグナル(+)
リンパ節所見 【頚部リンパ節生検】
スタンプ標本のHE染色にて小型~中型の腫瘍細胞(small cleaved cell)が優位のなか胚中心芽細胞(centroblast)が散見された。また、幅の狭い暗調なマントル層に囲まれた明瞭な濾胞様構造がみられた(Grade2)。
臨床診断 末梢血、骨髄にみられる異常リンパ球は特徴ある核の形態像(cleaved)を呈し、リンパ節にて腫瘍細胞の増殖がみられ、それらはCD5陰性のB細胞性で14;18転座、IgH/BCL-2融合シグナルを認めたことより濾胞性リンパ腫と診断された(grade2)。