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濾胞性リンパ腫は、組織学的に典型例は幅の狭い暗調なマントル層により縁取られた明調な濾胞様結節すなわち腫瘍性濾胞がリンパ節全体にわたり増殖する。
なかにはマントル層の不明瞭なもの、濾胞間領域が拡大... (続きを読む)
濾胞性リンパ腫は、組織学的に典型例は幅の狭い暗調なマントル層により縁取られた明調な濾胞様結節すなわち腫瘍性濾胞がリンパ節全体にわたり増殖する。
なかにはマントル層の不明瞭なもの、濾胞間領域が拡大したもの、中心部が暗調でその周囲に明調の腫瘍性濾胞が増殖するものなどもみられる。
FL細胞はMG染色で細い切れ込みが核中心へ走り、t(14;18)の核型異常、
BCL2陽性、sIg陽性(本症はIgM+IgD)が診断に有効になる。
本例は、骨髄、リンパ節に増加、増殖する病的リンパ球は独特の核形不整を示すものがあり、組織学的所見から濾胞性リンパ腫と診断された。
診断後、寛解導入療法としてR-CHOPが開始された。
部分寛解に入り観察中であったが、約4ヶ月後腹部CTにて腹腔内のmass増大したため、Cladribine単独、RCCMなどが施行され部分寛解となった。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 慢性 (成熟型) リンパ性白血病 (CL...
> B細胞白血病
> 濾胞性リンパ腫 (FL)
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性別 |
女
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年齢 |
45-49
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取得年代 |
2000-2004
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主訴 |
倦怠感、リンパ節腫脹。
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既往歴 |
早期胃癌。
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現病歴 |
リンパ節腫脹(鎖骨上窩、腹腔内)、肝脾腫(-)。
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検査所見 |
WBC 5,480/μl(St-Seg50, Ly49, Eo1, Ab.ly3%)
RBC 343万/μl、Hb 9.2g/dl、Ht 32.8%、PLT 12.5万/μl、
MCV 95.6fl、MCH 26.8pg、MCHC 28.0%、
NCC 11.7万/μl、MgK 15.0/μl (Ab.ly62%)、
LD 324IU/l、CRP 0.07mg/dl、TP 6.4g/dl、BUN 7.9mg/dl、Ca 8.9mg/dl、AST 16IU/l、ALT 6IU/l、UA 5.9mg/dl
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末梢血所見 |
正常白血球にて病的リンパ球が3%みられた。
それらは核形不整があり、核内に切れ込み状としてみられた。
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骨髄所見 |
骨髄は小型でN/C比が高く核形不整が顕著な病的リンパ球が62%みられた。
特徴的な核形不整は核中心性に切れ込みが走りcleaved(cleft)を呈するものであった。
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細胞化学所見 |
病的リンパ球はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性であった。
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形態診断 |
骨髄の病的リンパ球はcleaved(cleft)状の核形不整であり、非ホジキンリンパ腫の浸潤を考えた。
形態学的から濾胞性リンパ腫によくみられる所見よりそれを疑った。
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免疫学的所見 |
CD10、CD19、CD20、HLA-DR (+)
CD5 (-)
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分子生物学的所見 |
①46,XX,del(3)(p11p21),t(18;22)(q2?2;q11.2)‥ 11/13
②46,XX,t(18;22)(q2?2;q11.2)‥1/13
③46,XX‥1/13
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リンパ節所見 |
【MG所見】
小型~中型リンパ球の増殖がみられ腫瘍細胞を疑い、それらの一部に核形不整(cleaved)がみられた。
【Pap所見】
腫瘍細胞は中型リンパ球大で著明な核のくびれや核小体を有するものがみられた。一部に大型類リンパ球も認めた。
【HE染色】
マントル層に縁取られた濾胞様結節がみられ、増殖するリンパ球にはcleaved cellがみられた。
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臨床診断 |
骨髄、リンパ節に増加、増殖する病的リンパ球は独特の核形不整を示し、組織学的所見から濾胞性リンパ腫と診断された。診断後、寛解導入療法としてR-CHOPが開始された。
部分寛解に入り観察中であったが、約4ヶ月後腹部CTにて腹腔内のmass増大したため、Cladribine単独、RCCMなどが施行され部分寛解となった。約3年無治療にて経過観察中である。
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