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 本例は、IgMのM蛋白血症を伴い、骨髄やリンパ節にリンパ形質細胞性リンパ球の増加より、リンパ形質細胞性リンパ腫と診断された。
診断後、VMMD療法にて軽快、PSLでfollow up。本人の希望により開腹生検が出来...
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 本例は、IgMのM蛋白血症を伴い、骨髄やリンパ節にリンパ形質細胞性リンパ球の増加より、リンパ形質細胞性リンパ腫と診断された。
診断後、VMMD療法にて軽快、PSLでfollow up。本人の希望により開腹生検が出来ずstagingは不能。4年後血小板減少、γ-グロブリンの増量、CRP上昇、腹部CTにて腹部リンパ節腫大の増加がみられ病勢の強度が示唆された。Rituximabの投与により病勢鎮静化し、さらに2年後無治療にて観察中である。既往の糖尿病は他院にて治療継続中である。
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■症例詳細データ
性別
年齢 65-69
取得年代 2000-2004
主訴 発熱、リンパ節腫脹。
既往歴 Ⅱ型糖尿病。
現病歴 頚部リンパ節腫大、腹部大動脈周囲リンパ節腫大あり。
GAシンチ・骨シンチ・肝シンチ(-)
腹部エコー・腹部CT(+)
検査所見 WBC 6,330/μl (St-Seg61, Ly34, Eo5%)
RBC 259万/μl、Hb 7.8g/dl、Ht 25.4%、
MCV 98.1fl、MCH 30.1pg、MCHC 30.7%、PLT 28.5万/μl、
NCC 7.6万/μl、Mgk 15.0/μl (Ab.Ly60.4%)、
LD 194IU/l、TP 6.1g/dl、CRP 8.37mg/dl、BUN 12.9mg/dl、UA 6.5mg/dl、Ca 8.3mg/dl、IgG 1,400mg/dl、IgA 59mg/d、IgM 2,590mg/dl (κ型)、尿中BJ-protein 0mg/dl、M蛋白 24.7%、M蛋白量 1.5g/dl
末梢血所見 正常白血球の分類にて特に異常所見はない。
赤血球形態では連銭形成がみられ血清蛋白の異常がうかがえる。
骨髄所見 低形成像の骨髄にて形質細胞様リンパ球が60.4%にみられた。それらの核は偏在性で一部に核小体を有することより病的なリンパ球として捉えた。
末梢血同様に赤血球に連銭形成がみられた。
細胞化学所見 形質細胞様リンパ球はPO染色、PAS染色に陰性でACP染色では散在性の陽性がみられた。
免疫グロブリン定量ではIgMの増量がうかがえ、骨髄の免疫染色ではcIgM抗体に陽性であった。
形態診断 末梢血の連銭形成、骨髄での形質細胞様リンパ球の出現、またIgM-κ型の増量を加味してマクログロブリン血症を考えた。
免疫学的所見 CD2,CD3,CD4,CD5,CD7,CD8,CD11c,CD16,CD19,CD20(+)
分子生物学的所見 ①45,X,-Y‥15/20
リンパ節所見 [病理組織診断]
頚部リンパ節生検にて中型リンパ球の腫瘍性増殖がみられ、全般に核は偏在傾向にあった。
クロマチンは粗造で一部に核小体を認め、骨髄と同様の形態像と思われた。
臨床診断 IgMのM蛋白血症を伴うリンパ形質細胞性リンパ球の増加より、リンパ形質細胞性リンパ腫(リンパ節から)と診断された。診断後、VMMD療法にて軽快、PSLでfollow up。本人の希望により開腹生検が出来ずstagingは不能。4年後血小板減少、γ-グロブリンの増量、CRP上昇、腹部CTにて腹部リンパ節腫大の増加がみられ病勢の強度が示唆された。
Rituximabの投与により病勢鎮静化し、さらに2年後無治療にて観察中である。