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 マントル細胞リンパ腫は、リンパ節の浸潤が多いが、脾臓、骨髄にもみられ、節外では消化管が最も多く症例の30%にみられ、Waldeyer輪にも浸潤がみられる。消化管浸潤の多くは肉眼的には多発性リンパ腫様ポリポ...
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 マントル細胞リンパ腫は、リンパ節の浸潤が多いが、脾臓、骨髄にもみられ、節外では消化管が最も多く症例の30%にみられ、Waldeyer輪にも浸潤がみられる。消化管浸潤の多くは肉眼的には多発性リンパ腫様ポリポーシスとして認識される[Ruskone-Fourmestraux A et al.1997]。
     
 本例は、ほぼ全身に好発したリンパ節腫脹に原発する腫瘍細胞は骨髄や末梢血にもみられた。それらは、小型~中型リンパ球、一部には大型リンパ球で核形不整がみられ、CD5、cyclinD1の陽性やt(11;14)の核型異常を認めたことからマントル細胞リンパ腫と診断された。
診断後、THP-VEPA、m-EPOCHにて治療がなされた。6ヶ月後、表在リンパ節腫脹が再燃しleukemic changeが考えられ、VDS+Natulan、MTXの投与がなされた。
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■症例詳細データ
性別
年齢 75-79
取得年代 1995-1999
主訴 倦怠感、リンパ節腫脹。
既往歴 特になし。
現病歴 頚部・腋窩・鼠頚部・大腿・縦隔リンパ節腫脹を認める。
肝脾腫大を認める。
検査所見 WBC 9,800/μl (St-Seg66.0, Ly24.0, Eo2.0, Ab.ly4.0%)
RBC 481万/μl、Hb 12.5g/dl、Ht 40.8%、
MCV 84.8fl、MCH 26.0pg、MCHC 30.6%、PLT 16.3万/μl、
NCC 8.6万/μl、Mgk 6.25/μl (Ab.ly26.0%)、LD 1,585IU/l、TP 5.7g/dl、CRP 1.57mg/dl、BUN 12.5mg/dl、UA 6.8mg/dl、Ca 8.4mg/dl、AST 61IU/l、ALT 24IU/l
末梢血所見 血液像にて核形不整や核小体を有する病的リンパ球が4%にみられた。
骨髄への浸潤やリンパ節での状況が気になるところである。
骨髄所見 比較的大型のリンパ球様細胞は26%みられた。
それらは核形不整や核分葉などの異型性が顕著であったことより病的リンパ球と同定した。
骨髄セルブロックのHE染色で小型~中型リンパ球の増殖がみられた。
細胞化学所見 大型リンパ球様細胞はPO染色、PAS染色、PAS染色に陰性であった。
形態診断 末梢血、骨髄にみられるリンパ球様細胞は核形不整がみられることから病的リンパ球として捉え、細胞化学染色が陰性より表現型の所見が気になるところである。
免疫学的所見 CD5,BCL-2,cyclinD1(+)
CD10,BCL6,CD23(-)
病理学的処理による免疫染色でcyclinD1が核内に陽性であった。
分子生物学的所見 46,XY,t(11;14)(q13;q32)‥15/20
リンパ節所見 【病理組織診断】
増殖する腫瘍細胞は彌慢性に浸潤増殖し、一部には不明瞭な結節性増殖を示す。
腫瘍細胞は小型~中型であり、核形不整は軽度である。
cyclinD1が核内に陽性よりマントル細胞リンパ腫と診断された。
臨床診断 ほぼ全身に好発したリンパ節腫脹に原発する腫瘍細胞は骨髄や末梢血にもみられた。それらは、小型~中型リンパ球、一部には大型リンパ球で核形不整がみられ、CD5、cyclinD1の陽性やt(11;14)の核型異常を認めたことからマントル細胞リンパ腫と診断された。診断後、THP-VEPA、m-EPOCHにて治療がなされた。6ヶ月後、表在リンパ節腫脹が再燃しleukemic changeが考えられ、VDS+Natulan、MTXの投与がなされた。