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成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL/L)は、ヒトレテロウイルスであるHTLV-Ⅰが原因として関与している。ウイルス遺伝子のenvと3’側LTRの間にあるpX領域の産物の1つであるTax蛋白質が腫瘍の初期段階で腫瘍化に関連す... (続きを読む)
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL/L)は、ヒトレテロウイルスであるHTLV-Ⅰが原因として関与している。ウイルス遺伝子のenvと3’側LTRの間にあるpX領域の産物の1つであるTax蛋白質が腫瘍の初期段階で腫瘍化に関連するが、腫瘍化の過程で宿主ゲノムに様々な変化が生じ、癌化が進行するとTaxの発現は必須でなくなる。しかし、ATL細胞における腫瘍化に必要な遺伝子変化は明瞭ではないが、DNAメチル化が腫瘍化との関連を指摘している[松岡.2002]。
本例は、他院にてATL/L(急性型)と診断、約8ヶ月後に転院され、約2ヶ月後当科にてallo-PBSCTが施行された。
その1ヶ月後、出血性膀胱炎、GVHD-gradeⅢ(gut2, skin3)と診断された。
約10ヶ月後、両側胸水の貯留を認め、sIL-2Rが62,082U/mlと上昇し治療抵抗性であった。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 慢性 (成熟型) リンパ性白血病 (CL...
> T細胞白血病
> 成人T細胞白血病リンパ腫 (ATL)
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性別 |
女
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年齢 |
35-39
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取得年代 |
2000-2004
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主訴 |
リンパ節腫脹、皮疹、肝脾腫。
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既往歴 |
特になし。
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現病歴 |
約8ヶ月前、血液専門施設にてATL/L(急性型)と診断され、modified LSG15にてPR-follow中、郷里にて加療の目的で当院当科に紹介された。
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検査所見 |
【治療時所見】
WBC 20,500/μl (Ab.ly26.0%)、RBC 409万/μl、
Hb 12.4g/dl、Ht 37.2%、PLT 22.4万/μl、MCV 90.9fl、MCH 30.3pg、MCHC 33.3%、NCC 4.5万/μl、MgK 25.0/μl (Ab.ly78.0%)、TP 6.4g/dl、LD 335IU/l、Ca 12.6mg/dl
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末梢血所見 |
初診より8ヶ月後、白血球増加(20,500/μl)にてリンパ球様は26%みられ、それらは核形不整が顕著で大型細胞は強好塩基性で小空胞が多くみられた。
従って病的リンパ球として捉え、初診を加味しATL細胞として捉えた。
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骨髄所見 |
低形成像にてATL細胞は78%みられ、中型~大型のものがみられ、特徴的な核形不整を示し大型のものは強好塩基性で空胞が著しかった。
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細胞化学所見 |
ATL細胞はPO染色に陰性、EST染色に陰性であった。
PAS染色では粗大顆粒状の陽性のものがみられた。
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形態診断 |
ATL細胞の形態には珍しく大型で好塩基性の細胞質に空胞を有していた。
初診の形態が不明のため、本来の形態かあるいは治療によるものかは不明であった。初診がATL/Lよりその再燃と思われた。
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免疫学的所見 |
CD2,CD3,CD4,CD5,CD25,HLA-DR(+)
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分子生物学的所見 |
不詳。
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リンパ節所見 |
腫瘍細胞は彌慢性増殖がみられ、大きさは中~大型で多形性の核形不整を認めるものが多くみられた。
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臨床診断 |
他院にてATL/L(急性型)と診断、約8ヶ月後に転院され、約2ヶ月後当科にてallo-PBSCTが施行された。
その1ヶ月後、出血性膀胱炎、GVHD-gradeⅢ(gut2, skin3)と診断された。約10ヶ月後、両側胸水の貯留を認め、sIL-2Rが62,082U/mlと上昇し治療抵抗性であった。
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