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横紋筋肉腫は組織像から以下の3つに分類される。
①胎児型(embryonal type)、
②胞巣型(alveoral type)、③多形型(pleomorphic type)
上記の①②は比較的円形~類円形の腫瘍細胞であることから悪性リン腫
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横紋筋肉腫は組織像から以下の3つに分類される。
①胎児型(embryonal type)、
②胞巣型(alveoral type)、③多形型(pleomorphic type)
上記の①②は比較的円形~類円形の腫瘍細胞であることから悪性リン腫
細胞との鑑別が困難なときがある。確定診断にはPAS染色でグリコーゲンを証明
するか、免疫酵素抗体法でミオシン、ミオグロビン、アクチン、CPKmmなどの
マーカーの検出が有用となる。
本例は、骨髄の腫瘍細胞は形態像や免疫染色(ミオグロビン、デスミンが陽性)にて転移性横紋筋肉腫の胞巣型(alveoral type)と診断された。原発巣は硬膜外腫瘤が考えられた。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
性別 |
女
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年齢 |
10-14
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取得年代 |
1995-1999
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主訴 |
両側臀筋痛、歩行障害。
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既往歴 |
特になし。
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現病歴 |
両側臀筋痛にて近医受診するも問題はなく経過観察となった。
10日後、歩行障害となり翌日膀胱直腸障害が出現し、他院にてMRIの検査が行なわれた。その結果、L4~S1にかけ硬膜外腫瘤を指摘され、精査目的のため当科紹介入院となる。
右下腹部に腫瑠あり。
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検査所見 |
WBC 9,300/μl (芽球+, Promy1, My1, Met1, St-Seg51, Ly31, Mo7, Eo4, Ba4,0%)
RBC 417万/μl、Hb 11.4g/dl、Ht 32.7%、PLT 7.6万/μl、
MCV 78.4fl、MCH 27.3pg、MCHC 34.9%、 NCC 14.5万/μl、MgK 50.0/μl (腫瘍細胞94.6%)、TP 6.7g/dl、BUN 26.1mg/dl、AST 61IU/l、ALT 19IU/l、LD 7,183IU/l、UA 7.9mg/dl、CRP 12.4mg/dl、T.Bil 0.4mg/dl、フェリチン 8799.2ng/ml
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末梢血所見 |
血液像にて芽球がみられ、以下前骨髄球~後骨髄球が1%みられることより、類白血病反応がうかがえた。
しかし、空胞を有する芽球様については骨髄での状況から判定したい。
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骨髄所見 |
骨髄には芽球様が94.6%みられ、なかには大型で多核の有尾細胞が散見された。
大型細胞は血液細胞にはほど遠い形態像から転移性腫瘍細胞として捉えた。
周囲の孤立散在性の細胞も同系のものと考えた。
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細胞化学所見 |
腫瘍細胞はPO染色に陰性で、PAS染色に塊状~顆粒状の陽性がみられた。
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形態診断 |
末梢血の芽球は類白血病反応にて出現したものと解釈し、骨髄は腫瘍細胞で占められていた。
それは孤立性のものから大型で有尾状のものがみられ、転移性腫瘍細胞として考えた。
LDH、フエリチンの著増はそれを裏付けるものと思われた。
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免疫学的所見 |
硬膜外腫瘤における切除術にて免疫染色を施行した。
結果として、ミオグロビン、デスミンが陽性で、白血球共通抗原であるLCAは陰性であった。
以上より、悪性リンパ腫は否定され横紋筋肉腫の骨転移が考えられた。
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分子生物学的所見 |
47,XY,der(1)t(1;13)(q36;q14),+2,-13,+21,4~17dim
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リンパ節所見 |
生検は未施行。
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臨床診断 |
骨髄の腫瘍細胞は形態像や免疫染色(ミオグロビン、デスミンが陽性)にて転移性横紋筋肉腫の胞巣型(alveoral type)と診断された。原発巣は硬膜外腫瘤が考えられた。
厚生省横紋筋肉腫(RMS)プロトコールにて化学療法が開始された。1ヶ月後に末梢血幹細胞移植が施行された。
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