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鉄芽球を伴う不応性貧血 (RARS)
1)末梢血:貧血、芽球はみられない。
2)骨髄:芽球は5%未満、赤血球系にのみ異形成(形態異常)
環状鉄芽球が骨髄総赤芽球の15%以上に認める場合をいう。
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鉄芽球を伴う不応性貧血 (RARS)
1)末梢血:貧血、芽球はみられない。
2)骨髄:芽球は5%未満、赤血球系にのみ異形成(形態異常)
環状鉄芽球が骨髄総赤芽球の15%以上に認める場合をいう。
環状鉄芽球とは核周囲1/3以上にわたって10個以上の鉄顆粒が存在する 場合をいう。
本例は、汎血球減少症にて大球性正色素性貧血を呈し、骨髄で赤芽球が優位のなか芽球は1%、形態異常は赤芽球にのみに顕著よりMDS-RAを考えた。しかし、環状鉄芽球が75%みられたことで、RARS(芽球増加を伴う不応性貧血)の基準(15%以上)を満たすことよりMDS-RARSと診断された。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 骨髄異形成症候群 (MDS)
> 環状鉄芽球を伴う不応性貧血(後天性特発性...
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性別 |
男
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年齢 |
80-84
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取得年代 |
2000-2004
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主訴 |
倦怠感、貧血。
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既往歴 |
特になし。
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現病歴 |
3系統の減少から精査のため骨髄穿刺が施行された。
肝脾腫(-)、リンパ節腫(-)。
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検査所見 |
WBC 2,700/μl(St-Seg45, Ly50, Mo5%)
RBC 272万/μl、Hb 9.3g/dl、Ht 27.9%、PLT 7.0万/μl、MCV 102.6fl、MCH 34.2pg、MCHC 33.3%、
NCC 44.0万/μl、MgK 250.0/μl (芽球1%)、
PT 98.7%、APTT 37.3sec、Fbg 236mg/dl、AT-Ⅲ 81mg/dl、TP 6.8g/dl、BUN 25.1mg/dl、AST 23IU/l、ALT 15IU/l、LD 212IU/l、UA 3.6mg/dl、CRP 0.35mg/dl、T.Bil 1.0mg/dl、Ca 9.2mg/dl
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末梢血所見 |
大球性正色素性貧血の血液像にて芽球は見当たらなかった。
赤血球には一部に大型赤血球や好塩基性斑点がみられた。血小板は大型のものがみられた。
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骨髄所見 |
やや過形成像にてM/E比は0.45と赤芽球が優位(無効造血)であった。芽球は正常範囲(1%)であったが、N/C比が高いことや核小体が明瞭で異型性atypiaを思わせるものであった。
赤芽球に多核や巨赤芽球様変化がみられた。
巨核球に一部過分葉がみられた。
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細胞化学所見 |
芽球の一部にPO染色が陽性、赤芽球はPAS染色に陰性であった。Fe染色では赤芽球に環状鉄芽球(Ⅲ型~Ⅴ型)が75%みられた。その内訳は0型(10%)、Ⅰ型(10%)、Ⅱ型(5%)、Ⅲ型(20%)、Ⅳ型(39%)、Ⅴ型(16%)であった。
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形態診断 |
大球性正色素性貧血、骨髄で芽球は1%、形態異常は赤芽球にのみに顕著よりMDS-RAを考えた。
しかし、環状鉄芽球が75%みられたことで、RARS(芽球増加を伴う不応性貧血)の基準(15%以上)を満たすことよりMDS-RARSを考えた。
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免疫学的所見 |
未施行。
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分子生物学的所見 |
①46,XY[18]
②45,X,-Y[2]
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リンパ節所見 |
未施行。
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臨床診断 |
末梢血、骨髄での芽球に増加はなく、骨髄における異形成は赤芽球に優位であり、しかも環状鉄芽球を15%以上(実際は75%)認めたことよりMDS-RARSと診断された。
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