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本例は発熱、白血球減少、肝脾腫、汎血球減少症、高LDH血症、血清フエリチン高値、DIC所見がみられ、骨髄で未熟な組織球や血球貪食像を認め、EB-VCAIgG(+)よりウイルス感染性血球貪食症候群と診断された。
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本例は発熱、白血球減少、肝脾腫、汎血球減少症、高LDH血症、血清フエリチン高値、DIC所見がみられ、骨髄で未熟な組織球や血球貪食像を認め、EB-VCAIgG(+)よりウイルス感染性血球貪食症候群と診断された。
また、背景には顆粒リンパ球を認め、末梢血では28.5%、骨髄では11.2%みられたことで、顆粒リンパ球を伴ったウイルス感染性血球貪食症候群も考えれた。顆粒リンパ球については白血球減少(1,600/μl)のため、絶対数は456/μlで増加まではいかなかった。
EBウイルス感染についてはEB-EBNAIgG(-)より初発感染と思われた。診断後、VP-16(Etoposide)、AraCの化学療法にて2ヶ月後、汎血球減少は改善され一般状態も良好となった。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
性別 |
女
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年齢 |
00-04
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取得年代 |
1985-1989
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主訴 |
発熱、汎血球減少症
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既往歴 |
生後3ヶ月にcarbamyl phosphate synthetase Ⅰdeficiency (CPSD)を発症する。
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現病歴 |
発熱(40℃)が持続し食欲の低下がみられ近医を受診したところ肝腫大、肝機能異常を指摘され白血球減少を認めたため入院となる。入院後も発熱(38~39℃)が持続し肝脾腫、肝機能異常、汎血球減少、凝固異常を来したため精査目的のため当院入院となる。
頸部・腋窩部リンパ節腫(+)、肝脾腫(+)、皮膚軽度黄疸(+)
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検査所見 |
WBC1,600/μl、RBC262万/μl、Hb 6.9g/dl、Ht21.5%、MCV82.1fl、PLT5.4万/μl、BM-NCC8.1万/μl、LDH 84,100U/l、AST11,010U/l、ALT24,700U/l、Fbg68mg/dl以下、FDP15.3μg/ml、T-bil.13.6mg/dl、D-bil.12.7mg/dl、AST432U/l、ALT93U/l、LDH3,822U/l、Ferritin14,105ng/ml、CRP0.2mg/dl、EB-VCAIgGx160(+)、EBNA-IgG(-)
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末梢血所見 |
白血球減少(1,600/μl)にて、Meta0.5%、Band21.5%、Seg13.0%、Ly23.5%、Mo.3.0%、At.ly10.0%、LGL28.5%、マクロファージ(+)、1/200w
リンパ系細胞62%のなか異型リンパ球が10%、顆粒リンパ球が28.5%みられた。顆粒リンパ球は18μm大で顆粒を3個以上有するLGL細胞は456/μlであった。
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骨髄所見 |
低形成像でM/Eは3.96で造血細胞の周囲には血球を貪食する組織球が散見される。その割合は2.4%で一部に幼若な組織球もみられた。血球貪食をもたない一連の組織球は核が類円形でクロマチンはやや繊細網状で未熟型がうかがえる。
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細胞化学所見 |
一連の組織球はPO染色に陰性から弱陽性、EST染色に弱陽性、ACP染色に強陽性を呈した。
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形態診断 |
末梢血に組織球様細胞が出現し顆粒リンパ球は11.2%みられた。骨髄では未熟組織球や一部に血球貪食像が増加し、EBウイルス抗体が証明されたことよりウイルス感染性血球貪食症候群を疑った。
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免疫学的所見 |
末梢血の顆粒リンパ球:CD16・CD56(+)
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分子生物学的所見 |
N.D
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リンパ節所見 |
N.D
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臨床診断 |
発熱、白血球減少、肝脾腫、汎血球減少症、高LDH血症、血清フエリチン高値、DIC所見がみられ、骨髄で未熟な組織球や血球貪食像を認め、EB-VCAIgG(+)よりウイルス感染性血球貪食症候群と診断された。また、顆粒リンパ球を認めたため上記診断に追加された。EBウイルス感染についてはEB-EBNAIgG(-)より初発感染と思われた。診断後、VP-16(Etoposide)、AraCの化学療法にて2ヶ月後、汎血球減少は改善され一般状態も良好となった。
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