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CMLの血液学的ならびに細胞遺伝学的効果判定 [Talpaz.1987]
1)完全寛解 CHR:complete hematological response
①白血球の正常化 ②幼若顆粒球の消失 ③血小板450万/μl以下
②臨床症状の消失
2)不完... (続きを読む)
CMLの血液学的ならびに細胞遺伝学的効果判定 [Talpaz.1987]
1)完全寛解 CHR:complete hematological response
①白血球の正常化 ②幼若顆粒球の消失 ③血小板450万/μl以下
②臨床症状の消失
2)不完全(部分)寛解 PHR:partial hematological remission
①白血球が前回値の50%以下かつ2万/μl以下
②血液学的所見が正常でも脾腫は持続する
3)非寛解 NR:no remission
①CHRおよびPHR以下
本例は、光顕的にCMLを疑ったがNAPの高値とCRPの高値に疑問を残した。背景の重症な肺炎が原因であった。染色体検査ではPh染色体、BCR-ABL遺伝子を認めたためCMLと診断された。高齢者の肺炎には要注意である。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 慢性骨髄性白血病 (CML)
> 慢性骨髄性白血病
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性別 |
女
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年齢 |
80-84
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取得年代 |
1995-1999
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主訴 |
発熱、呼吸不全。
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既往歴 |
高血圧。
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現病歴 |
高血圧症にて通院中、転倒し下顎、両膝を打撲し紫斑出現、その後発熱、呼吸不全を主訴に来院する。
白血球増加と貧血が指摘され入院となる。
胸部X線照射にて重症の肺炎像(胸膜炎)がみられた。
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検査所見 |
WBC 192,100/μl
(芽球2, promy4, My4, Met3, St-Seg76, Eo2, Ba9, Ebl.3/100w)
RBC 286万/μl、Hb 8.0g/dl、Ht 25.2%、MCV 88.1fl、MCH 28.0pg、MCHC 31.7%、PLT 8.8万/μl、LDH 1,382lU/l、CRP 24.5mg/dl
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末梢血所見 |
白血球数の著増(192,100/μl)に伴い、顆粒球系の幼若型や赤芽球の出現がみられた。
一部の好中球に低顆粒を認め、好塩基球や好酸球の増加もみられた。
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骨髄所見 |
骨髄は過形成であり、M/E比は10.3と顆粒球系が優位で分化段階がみられた。芽球は2%位で、顆粒球系のほかに好塩基球(11%)や好酸球の増加(8%)を認め、顆粒球系に低顆粒や若干ながら小型巨核球を認めた。芽球の増加を伴わない顆粒球系の著増によりCMLの慢性期を疑った。
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細胞化学所見 |
顆粒球系全般にPO染色は陽性を呈した。NAP染色は陽性率92%、陽性指数353の高値を呈した。
肺炎が完治後のNAP染色では陽性率20%、陽性指数30の低値であった。
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形態診断 |
末梢血、骨髄ともに顆粒球系の増加と好塩基球や好酸球の増加からCMLを疑った。しかし、NAP活性が高値のため類白血病反応も考慮することとした。NAP活性の高値は、肺炎の合併(CRPの高値)によるものと思われ、白血球数の10万/μl以上は腫瘍性の可能性が高く、まずCMLを考え染色体検査の結果待ちとなった。
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免疫学的所見 |
CD13,CD33,CD14,HLA-DR(+)
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分子生物学的所見 |
①46,XY,t(9;22)(q34;q11)‥20/20cell
②BCR/ABL(+)
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リンパ節所見 |
未施行。
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臨床診断 |
背景に重篤な肺炎を併発したCMLと診断された。
後報告となる染色体検査ではPh染色体、BCR-ABL遺伝子を認めたためCMLを強く支持するものとなった。
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