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未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)には次の二種類がある。
1)p80NPM/ALK陽性ALCL:若年者(20代前半)に多く、初発臓器はリンパ節に多いが節外にもある。化療に対して反応性がよい。組織診にて腫瘍細胞は多様性... (続きを読む)
未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)には次の二種類がある。
1)p80NPM/ALK陽性ALCL:若年者(20代前半)に多く、初発臓器はリンパ節に多いが節外にもある。化療に対して反応性がよい。組織診にて腫瘍細胞は多様性に富み、大型で円形~楕円形核で核膜にくびれを有し、腎臓形、胎児形などの特異な核形を示す。p80NPM/ALK、CD30、EMA、細胞傷害関連因子TIA-1、granzymeBが陽性、CD5、EBVが陰性である。
2)p80NPM/ALK陰性ALCL:高齢者(50代)に多く、病期は進行性で難知性とされる。組織診にて腫瘍細胞は多形性に富み、Reed-Sternberg(RS)細胞に類似するものがありホジキンリンパ腫との鑑別を余儀なくされることがある。
本例は小児例で、形態学的には多様性の核形不整が特徴であり、表現型はCD30が陽性、染色体ではt(2;5)が証明されたことでALCL)と診断された。尚、ALK-1については未検査である。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
性別 |
男
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年齢 |
05-09
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取得年代 |
2000-2004
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主訴 |
発熱、白血球増加。
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既往歴 |
特になし。
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現病歴 |
発熱、軽度の腹痛より抗生剤、制吐剤の点滴を受ける。
発熱が持続するため4日後に近医を受診し、白血球増加を指摘され当科を紹介入院となる。
頚部リンパ節腫脹、顎下両側にウズラ卵大の腫瘤を認める。
肝腫(4fb)、脾腫(-)
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検査所見 |
WBC 65,000/μl (芽球0, St-Seg17, Ly83%:Ab.Ly+)、RBC 470万/μl、Hb 15.8g/dl、Ht 44.5%、PLT 23.7万/μl、MCV 94.6fl、MCH 33.6pg、MCHC 35.5%、
NCC 12.6万/μl、MgK 62.5/μl
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末梢血所見 |
白血球増加(65,110/μl )のリンパ球増加に大型で空胞をもつリンパ球や小型で核形不整をもつリンパ球がみられた。
小型にはアズール顆粒を有するのがみられた。
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骨髄所見 |
やや低形成像にて、末梢血と同様にリンパ球様細胞には大型で空胞をもつものや小型で核形不整のものが66%みられた。
大型のものは核小体を有し空胞が顕著で、小型のものは核形不整が顕著でアズール顆粒をもつものもみられた。
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細胞化学所見 |
一連のリンパ球様細胞はPO染色に陰性、PAS染色に陰性であった。
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形態診断 |
末梢血、骨髄ともに共通するリンパ球様細胞は、異常な所見(核形不整、核小体、空胞など)がみられることより病的リンパ球として捉えた。非ホジキンリンパ腫を考えるが、アズール顆粒についてはT-LGLも考慮する必要があり、表面マーカー、染色体検査の結果待ちとなった。
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免疫学的所見 |
【頚部リンパ節生検】
CD4,CD7,CD8,CD45RO,cyCD3,CD20,CD30,HLA-DR(+)
EMA(+),CD16,CD56(-)
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分子生物学的所見 |
①46,XY,t(2;5)(p23;q35)
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リンパ節所見 |
【病理組織診断】
病理学的診断では単一の腫瘍細胞は、実質内にび慢性に分布し類洞浸潤がみられ敷石状に配列する。
腫瘍細胞は大型で細胞質が豊富で核形は多様性に富み核小体を認める。
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臨床診断 |
形態学的には多様性の核形不整が特徴であり、表現型はCD30が陽性、染色体ではt(2;5)が証明されたことで未分化大細胞型リンパ腫(Anaplastic large cell lymphoma:ALCL)と診断された。NK cellについては陰性であった。
尚、ALK(anaplastic lymphomakinase)の証明が必須とされるが未検査である。
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