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 濾胞性リンパ腫(FL)はWHO分類では成熟B細胞性腫瘍の範疇になる。
FLは濾胞中心B細胞(centrocytes/cleaved follicle center cells
(FCC)とcentroblasts/noncleaved(FCC)が起源となるB細胞性腫瘍で一部で濾胞様...
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 濾胞性リンパ腫(FL)はWHO分類では成熟B細胞性腫瘍の範疇になる。
FLは濾胞中心B細胞(centrocytes/cleaved follicle center cells
(FCC)とcentroblasts/noncleaved(FCC)が起源となるB細胞性腫瘍で一部で濾胞様構造がみられる。FLは米国ではNHLの約35%を占め、世界的には22%のようである[Anon.A et al.1997]。
発症はリンパ節原発(節性)が多く、脾臓、骨髄、Waldeyer輪、消化管特に十二指腸の報告がある。
組織学的に、典型例は幅の狭い暗調なマントル層により縁取られた明調な濾胞様結節すなわち腫瘍性濾胞がリンパ節全体にわたり増殖する。
なかにはマントル層の不明瞭なもの、濾胞間領域が拡大したもの、中心部が暗調でその周囲に明調の腫瘍性濾胞が増殖するものなどもみられる。
     FL細胞はMG染色で細い切れ込みが核中心へ走り、t(14;18)の核型異常、
BCL2陽性、sIg陽性(本症はIgM+IgD)が診断に有効になる。
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■症例詳細データ
性別
年齢 25-29
取得年代 1995-1999
主訴 発熱、リンパ節腫大。
既往歴 特になし。
現病歴 発熱(39度)、頚部、腋窩、鼠頚部リンパ節腫大 (径1.5~3cm) あり。
検査所見 WBC 4,040/μl (St-Seg74.0, Ly22.0, Mo.3.0, Ab.ly1.0%)
RBC 449万/μl、Hb 12.3g/dl、Ht 37.8%、
MCV 84.2fl、MCH 27.3pg、MCHC 32.5%、PLT 13.3万/μl、
NCC 11.2万/μl、Mgk 6.25/μl (Ab.ly13.0%)、
LD 329IU/l、TP 6.4g/dl、CRP 0.07mg/dl、BUN 9.4mg/dl、UA 6.5mg/dl、
Ca 9.0mg/dl、AST 16IU/l
末梢血所見 血液像にて病的リンパ球が1%にみられた。
N/C比は高く、クロマチンは粗造で僅かに核形不整がみられる。
骨髄所見 N/C比が高い小型の病的リンパ球が13.0%みられた。
それらはN/C比は高く核形不整は強くない。
【骨髄セルブロック】
HE染色では、濾胞様に小型~中型のリンパ球の腫瘍性増殖がみられ、核のくびれ(cleaved)が特徴的であった。
細胞化学所見 リンパ球様細胞はPO染色、PAS染色に陰性であった。
形態診断 末梢血・骨髄の病的リンパ球がみられ、極一部に核形不整を認めたが特徴的なポイントが掴めずリンパ節生検の所見が有効となった。
その所見による形態像は、核にくびれ状(cleaved)がみられることで濾胞性リンパ腫を疑った。
表現型、染色体が確定診断になる。
免疫学的所見 CD10,CD19,CD20,BCL2,CD79a,HLA-DR(+)
IgM+IgD(+)
CD5,CD43(-)
分子生物学的所見 ①46,XX,t(14;18)(q32;q21)‥15/20
②46,XX‥5/20
③IgH/BCL2(+)
リンパ節所見 【鼠頚部リンパ節生検】
腫瘍性濾胞形成が増殖してみられた。
【病理組織診断】
腫瘍性濾胞は胚中心細胞centrocyteに類似した小型~中型の異型細胞small cleaved cell と胚中心芽細胞centroblastに類似した大型の異型細胞が少数混在する。
臨床診断 リンパ節スタンプ標本でのcleaved typeのリンパ球と腫瘍性濾胞形成は濾胞性リンパ腫を思わせるものであった。
表面形質、染色体検査により診断をさらに裏付けるものになった。
診断後CHOP療法が施行された。
7ヶ月後転院されm-EPOCHが施行され、さらに6ヶ月後転院され経過観察中である。