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成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL/L)の腫瘍細胞は、CD2、CD3、CD5は陽性であるがCD7は陰性のことが多い。典型例は成熟ヘルパーT細胞のCD4+、CD25+、
CD8-を示すが、CD4-、CD8+、やCD4+、CD8+の症例も認める。大... (続きを読む)
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL/L)の腫瘍細胞は、CD2、CD3、CD5は陽性であるがCD7は陰性のことが多い。典型例は成熟ヘルパーT細胞のCD4+、CD25+、
CD8-を示すが、CD4-、CD8+、やCD4+、CD8+の症例も認める。大型細胞にCD30の陽性で未分化大細胞型リンパ腫類似像を示すがALK(anaplastic lymphoma kinase)であり、またTIA-1(T-cell intracellular antigen)やグランザイムBなどの細胞障害性蛋白が陰性のことより鑑別される。
本例は、末梢血、骨髄にみられる腫瘍細胞の形態学的特徴、高LDH血症、高Ca血症ならびにとHTLV-Ⅰ抗体が陽性よりATL/L(急性型)と診断された。
m-EPOCH療法にて治療が開始され、3ヶ月後にallo-PBSCT(ミニ移植)が施行された。Day18にCMV抗原血症が発生するもデノシン投与で消失した。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 慢性 (成熟型) リンパ性白血病 (CL...
> T細胞白血病
> 成人T細胞白血病リンパ腫 (ATL)
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性別 |
男
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年齢 |
55-59
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取得年代 |
2000-2004
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主訴 |
リンパ節腫脹、白血球増加。
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既往歴 |
高Ca血症、高尿酸血症、肝障害。
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現病歴 |
白血球の著増(236,920/μl)にて病的リンパ球がみられ精査のため当科紹介入院となる。
皮膚症状(+)、頚部リンパ節腫脹(+)、鼠径部リンパ節腫脹(+)
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検査所見 |
WBC 236,920/μl (St-Seg7, Ab.Ly83, Ly10%)
RBC 473万/μl、Hb 11.0g/dl、Ht 38.6%、PLT 7.2万/μl、
MCV 81.6fl、MCH 23.2pg、MCHC 28.4%、NCC 48.7万/μl、
MgK 30.0/μl (病的リンパ球62%)、TP 5.7g/dl、BUN 13.6mg/dl、AST 155IU/l、ALT 61IU/l、LD 7021IU/l、UA 10.4mg/dl、CRP 0.71mg/dl、T.Bil 3.2mg/dl、Ca 14.5mg/dl、HTLV-1抗体(+)
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末梢血所見 |
白血球著増の血液像にて病的リンパ球が83%みられ、核形不整が強く、盛り上がり状の核はATL細胞様であった。
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骨髄所見 |
骨髄にて病的リンパ球は62%で小型で核形不整(盛り上がり状)の核が特徴的であった。
アズール顆粒は認めず、核影が結構みられた。
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細胞化学所見 |
病的リンパ球はPO染色やPAS染色に陰性であった。
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形態診断 |
末梢血、骨髄ともに出現する病的リンパ球は特徴ある形態像より成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL/L)を考えた。
高LDH血症(7,021mg/dl)、高a血症(14.5mg/dl)がみられた。
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免疫学的所見 |
CD2,CD3,CD4,CD25,HLA-DR(+)CD8(-)
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分子生物学的所見 |
未施行。
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リンパ節所見 |
【骨髄生検スタンプ:HE染色】
リンパ腫細胞は大型~中型で大小不同性、核形不整が強く、一部に核小体を有するものもみられATLを疑う。
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臨床診断 |
末梢血、骨髄にみられる腫瘍細胞の形態学的特徴、高LDH血症、高Ca血症ならびにHTLV-Ⅰ抗体が陽性よりATL/L(急性型)と診断された。m-EPOCH療法にて治療が開始され、3ヶ月後にallo-PBSCT(ミニ移植)が施行された。Day18にCMV抗原血症が発生するもデノシン投与で消失した。
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