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 マントル細胞リンパ腫は、形態学的に核形不整(leaved)がみらえるが切れ込みはさほど強くない。初診時にはすでに進行しており、リンパ節のほかに脾臓、骨髄、末梢血にもみられる。
表現型ではCD5(時に陰性)、CD...
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 マントル細胞リンパ腫は、形態学的に核形不整(leaved)がみらえるが切れ込みはさほど強くない。初診時にはすでに進行しており、リンパ節のほかに脾臓、骨髄、末梢血にもみられる。
表現型ではCD5(時に陰性)、CD43、bcl-2、cyclinD1、FMC7が陽性で、染色体ではt(11;14)(q13;q32)を認める。本型はcyclinD1蛋白質の過剰発現が細胞周期(G1期)に影響し癌化が起こるとされる。
     
 本例は、末梢血に増加するリンパ球とリンパ節に増殖するリンパ球はCD5、BCL2、cyclinD1が陽性であったことより非ホジキンリンパ腫のマントルリンパ腫と診断された。また、本型でよくみられるt(11;14)の核型異常が認められた。
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■症例詳細データ
性別
年齢 10-14
取得年代 2000-2004
主訴 白血球増加。
既往歴 摘脾(11歳時)。
現病歴 2歳頃からリンパ節腫脹、肝脾腫があったため経過観察されていた。11歳時に脾臓の摘出を受ける。
最近になって白血球の増加に伴いリンパ球が増加したこと、リンパ腫脹がみられたため他院にて骨髄穿刺およびリンパ節生検が施行された。診断の相談を含め当科へ紹介入院となった。リンパ節腫脹(頚部、腋窩、鼠径部など)をみとめた。
検査所見 WBC 51,600/μl (Ly90, St-Seg8, Eo2%)
RBC 426万/μl、Hb 14.3g/dl、Ht 40.3%、PLT 8.6万/μl、
MCV 94.6fl、MCH 33.5pg、MCHC 35.4%
末梢血所見 白血球著増(51,600/μl)にてリンパ球は90%(46,440/μl)と増加していた。
形態学的には小型~中型リンパ球で、N/C比はやや高くクロマチンは粗鋼で核形不整や核小体は不明瞭であった。
骨髄所見 他院で施行された骨髄穿刺はdry tapのため検索不能であった。
細胞化学所見 末梢血のリンパ球についてPO染色、PAS染色は陰性であった。
形態診断 末梢血のみの所見であるが、成熟型を思わせるリンパ球の増加(10,000/μl)と形態像より慢性リンパ性白血病を考えたが、年齢が10歳代より非ホジキンリンパ腫を疑った。
免疫学的所見 CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、BCL2、Cyclin D1、HLA-DR (+)
分子生物学的所見 46,XY,t(11;14)(q13;q32)
リンパ節所見 大小不同のみられない単一(monotony)なリンパ系細胞から構成され、クロマチンは粗鋼で核形不整や核小体は不明瞭であった。増殖するリンパ球に対し、免疫染色でCyclin D1が核内に陽性がみられた。
【組織診断】
Malignant lymphoma: mantle cell type, blastoid variant
臨床診断 末梢血に増加するリンパ球とリンパ節に増殖するリンパ球はCD5、BCL2、cyclinD1が陽性であったことより非ホジキンリンパ腫のマントルリンパ腫と診断された。
染色体では本症でよくみられるt(11;14)の核型異常が認められた。本染色体異常は70~75%にみられるといわれる。