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本例は白血球数の著増(99,700/μl)は異常細胞は認めず、好中球増加が主体であった。しかし、骨髄では大型で空胞が顕著なリンパ球様細胞を11.6%認めた。形態的にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)やバ... (続きを読む)
本例は白血球数の著増(99,700/μl)は異常細胞は認めず、好中球増加が主体であった。しかし、骨髄では大型で空胞が顕著なリンパ球様細胞を11.6%認めた。形態的にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)やバーキットリンパ腫を優先に考えATLLは除外診断と考えた。
しかし、HTLV-Ⅰ抗体が陽性よりATLLの切り替え、高Ca血症と腎不全、高LDH血症からATLLと診断された。本例はATLLを思わせない形態像であった。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
FAB分類 |
> 慢性 (成熟型) リンパ性白血病 (CL...
> T細胞白血病
> 成人T細胞白血病リンパ腫 (ATL)
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性別 |
男
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年齢 |
65-69
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取得年代 |
2010-2014
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症例の種類 |
典型例
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主訴 |
発熱、意識障害
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既往歴 |
高血圧症
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現病歴 |
両下肢脱力感、腎盂腎炎、肺気腫、両腎周囲腔の浮腫
頸部リンパ節腫大(軽度)、肝腫(軽度)
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検査所見 |
WBC99,700/μl (St-Seg85, Ly8, Mo7%)
RBC348万/μl、Hb11.3g/dl、Ht34.7%, MCV99.6fl, PLT13.2万/μl
TP5.0g/dl、LDH631IU/l、T-bil0.3mg/dl、ALP195IU/l、AST58IU/l、ALT39IU/lBUN42.9mg/dl、Cre3.6mg/dl、UA11.3mg/dl、Ca10.7mg/dl、CRP5.2mg/dl
NCC8.3万/μl、Mgk 30/μl
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末梢血所見 |
末梢血は好中球が85%と優位でリンパ球は8%みられた。
他に異常所見はみられなかった。
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骨髄所見 |
骨髄は低形成気味でリンパ球様細胞が11.6%みられた。それらは大型で、細胞質は豊富で好塩基性の細胞質には顕著な空胞を認めた。核形は類円形で二核のものをみられ、核網は粗網状から粗鋼を呈するものが多かった。形態的より異常リンパ球と同定した。
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細胞化学所見 |
リンパ球様細胞はPO染色に陰性でPAS染色やEST染色も陰性であった。
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形態診断 |
骨髄の大型で空胞が顕著なリンパ球様細胞をいかに診断づけるかにあり、形態的にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を優先に考え、バーキットリンパ腫やATLは否定したいところである。
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免疫学的所見 |
CD2・CD3・CD4・CD7・CD25(+)、TCR-αβ(+)
HLA-DR (士)
HTLV-Ⅰ抗体(+)
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分子生物学的所見 |
48,XY,ins(1;?)(q21;?),t(2;6)(q31;p23),+3,del(6)(q?),del(9)(q?),+12,add(13)(q14),add
(20)(p11.2),add(21)(q22) [3]
46,XY [17]
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リンパ節所見 |
N.D
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臨床診断 |
骨髄の異常リンパ球は、HTLV-Ⅰ抗体が陽性で高Ca血症と腎不全、高LDH血症を呈していたことからATLLと診断された。
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