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 本例は通園中の保育園で下痢が流行し、下痢、血便を前駆症状として嘔吐が続き、腎障害、貧血が進行したため入院となったものである。
入院時の検査所見で、血小板減少、溶血性貧血、急性腎不全の三徴と検便よ...
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 本例は通園中の保育園で下痢が流行し、下痢、血便を前駆症状として嘔吐が続き、腎障害、貧血が進行したため入院となったものである。
入院時の検査所見で、血小板減少、溶血性貧血、急性腎不全の三徴と検便よりベロドキシン産生の病原大腸菌O-157(腸管出血性大腸菌;EHEC)が検出されたことから溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断された。
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■症例詳細データ
性別
年齢 00-04
取得年代 2000-2004
症例の種類 典型例
主訴 貧血、下痢
既往歴 特になし
現病歴 貧血、下痢(血便)、
検査所見 WBC19,600/μl、RBC288万/μl、Hb7.8g/dl、Ht22.5%、MCV78.1fl、MCH27.1pg、MCHC34.8%、PLT5.1万/μl、Rei 8.4%、NCC20.4万/μl(M/E 0.34)、Mgk96/μl
PT10.9sec、APTT29.8sec、Fbg200mg/dl、FDP49.1μg、T-bil 2.0mg/dl、D-bil 0.6mg/dl、Hp<10mg/dl、LD6,396/μl、BUN55mg/dl、Cre2.3mg/dl、D-Coombs(-)、InD-Coombs(-)、U-protein(+)、Occult blood in urine(3+)、E.coli:O-157(+)
末梢血所見 小球性正色素性貧血にて多くの屑様赤血球(破砕赤血球)を認め赤芽球の出現もみられた。異常細胞は認めず網赤血球は著増(8.4%)していた。
骨髄所見 正形成の骨髄にて赤芽球が優位(M/E0.34)で、成熟段階がみられ形態異常はみられなかった。芽球は3%以下で正常域であった。
細胞化学所見 骨髄の赤芽球に対し、PAS染色は陰性、Fe染色では鉄芽球は認めるものの環状鉄芽球は認めなかった。
形態診断 小球性正色素性貧血のもと網赤血球の増加がより溶血性貧血を疑った。ほかに破砕赤血球の著増については原因追求が必要である。生化学的検査では、LDHの高値、ハプトグロビンの低値は溶血を支持するものであった。また、BUNの高値(55mg/dl)、クレアチニンの高値(2.3mg/dl)、尿潜血反応陽性は急性腎不全を疑うものであった。
免疫学的所見 ND
分子生物学的所見 ND
リンパ節所見 ND
臨床診断 小児例で、血小板減少、溶血性貧血、急性腎不全の三徴と検便よりベロドキシン産生の病原大腸菌O-157(腸管出血性大腸菌;EHEC)が検出されたことから溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断された。