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本例は、末梢血の網赤血球の消失や骨髄の赤芽球の著減をもたらした貧血であり、それは胸腺腫が原因と考えられた。胸腺は免疫に重要な臓器であり、自身のリンパ球が赤芽球系幹細胞を攻撃した自己免疫疾患とされ... (続きを読む)
本例は、末梢血の網赤血球の消失や骨髄の赤芽球の著減をもたらした貧血であり、それは胸腺腫が原因と考えられた。胸腺は免疫に重要な臓器であり、自身のリンパ球が赤芽球系幹細胞を攻撃した自己免疫疾患とされる。入院2ケ月後に胸腺摘出が施行されたが、赤血球、網赤血球や骨髄の赤芽球は回復した。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
性別 |
男
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年齢 |
65-69
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取得年代 |
2000-2004
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症例の種類 |
典型例
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主訴 |
倦怠感
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既往歴 |
特になし
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現病歴 |
胸腺腫(+)、肝脾腫(-)、リンパ節腫(-)
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検査所見 |
【On admission】WBC 6,600/μl、RBC 217万/μl、Hb 6.5g/dl、Ht 20.0%、MCV 92.1fl、
MCH 29.9pg、MCHC 32.5%、PLT 34.6万/μl、Ret. 0%、BM-NCC 8.5万/μl(M/E 31.6)、Mgk 25.0/μl
【After 2 months】WBC 7,600/μl、RBC 366万/μl、Hb 12.8g/dl、Ht 38.4%、MCV 104.9fl、MCH 34.9pg、MCHC 33.3%、PLT 36.2万/μl、Rei 2.2%、BM-NCC 15.2万/μl(M/E 3.2)、
Mgk 70.0/μl
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末梢血所見 |
正球性正色素性貧血のもと大小不同がみられた他は顕著な赤血球形態異常はみられなかった。網赤血球の著減(0%)がみられた。
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骨髄所見 |
低形成の骨髄にて赤芽球の極端な減少に伴う顆粒球系の相対的増加がみられた。散見される赤芽球の一部に前巨赤芽球がみられた。
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細胞化学所見 |
PO染色は顆粒球系に、PAS染色も顆粒球系に陽性であり、クロロアセテートEST染色は顆粒球系に陽性であった。
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形態診断 |
正球性正色素性貧血のもと網赤血球が全くみられなかった。網赤血球の消失から赤血球のみの単独減少であり、赤血球系前駆細胞であるBFU-E、CFU-Eレベルの異常が考えられる。骨髄では赤芽球が著減しており、胸腺腫がみられたことで赤芽球癆を疑った。
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免疫学的所見 |
ND
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分子生物学的所見 |
ND
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リンパ節所見 |
ND
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臨床診断 |
末梢血の網赤血球の消失や骨髄の赤芽球の著減をもたらした貧血は胸腺腫が原因と考えられた。胸腺は免疫に重要な臓器であり、自身のリンパ球が赤芽球系幹細胞を攻撃した自己免疫疾患とされる。 【臨床経過】入院2ケ月後に胸腺摘出が施行されたが、赤血球、網赤血球や骨髄の赤芽球は回復した。RBC366万/μl、Hb12.8g/dl、Ht38.4%、Ret.2.2%、BM-NCC15.2万/μl(M/E 3.16)。
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