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本例は骨髄の形態所見よりMPNのCMLが疑われたが、Ph/BCR-ABL1陰性より除外された。骨髄細胞の染色体検査で8;13転座を認め、またFGFR1遺伝子異常を認めたことよりFGFR1遺伝子異常を伴うMPNを疑った。しかもリン... (続きを読む)
本例は骨髄の形態所見よりMPNのCMLが疑われたが、Ph/BCR-ABL1陰性より除外された。骨髄細胞の染色体検査で8;13転座を認め、またFGFR1遺伝子異常を認めたことよりFGFR1遺伝子異常を伴うMPNを疑った。しかもリンパ節生検にて増殖した腫瘍細胞はマーカーよりT-lymphoblastic lymphomaと診断されたことでFGFR1遺伝子異常を伴う骨髄/リンパ性腫瘍と診断された。
近年、好酸球増多症を伴う骨髄増殖性腫瘍(MPN)に特徴的な遺伝子異常が分子標的治療に著効することが明らかになってきた。これらの遺伝子異常とはα型PDGF受容体(PDGFRA)、β型PDGF受容体(PDGFRB)、FGF受容体typeⅠ(FGFR1)遺伝子変異である。MPNではPh/BCR-ABL遺伝子とともに今後検索する価値のあるものになった。WHO分類(2008)は疾患単位として取り入れた。 (たたむ)
 
■症例詳細データ
性別 |
女
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年齢 |
65-69
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取得年代 |
2000-2004
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主訴 |
白血球増多
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既往歴 |
2年前に直腸癌にてpolypectomy
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現病歴 |
1ヶ月前より扁桃腺炎で治療するも改善せず白血球増多により当院へ紹介された。
扁桃腺両側腫大、頸部・腋窩・鼠蹊部にリンパ節腫大(径0.5cm大)、肝脾腫(-)。
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検査所見 |
WBC41,000/μl(Promy1,My6,Met13,St-Seg50,Eo8,Ly12,Mo10%)、RBC362万/μl、Hb11.6g/dl、Ht34.6%、MCV95.5fl、MCH32.0pg、MCHC33.5%、PLT11.6万/μl、NAP;25%、NCC52.6万/μl、M/E10.2、TP6.9g/dl、AST25IU/l、ALT14IU/l、LDH2,160IU/l、VB12 1,240pg/ml、CRP0.23mg/dl
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末梢血所見 |
白血球増多(41,000/μl)のもと、幼若顆粒球の出現と好酸球の増加(3,280/μl)や単球の増加(4,100/μl)がみられた。好塩基球の増加はなくNAPが低値であった。
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骨髄所見 |
骨髄は過形成で、芽球は5%以下、M/E比が高く顆粒球系の成熟段階がみられた。単球は5%で、好酸球は幼若型から成熟型にかけて14%みられた。
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細胞化学所見 |
顆粒球系全般にPO染色は陽性であった。EST染色はブチレートの陽性は少なく単球系の混在は否定した。
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形態診断 |
末梢血では幼若顆粒球と好酸球の増加がみられ、過形成の骨髄は顆粒球系が優位であったことより骨髄増殖性腫瘍(MPN)を考えた。NAP染色の陽性率は25%の低値であったことよりCMLを疑い染色体待ちとした。
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免疫学的所見 |
【頚部リンパ節】
CD2(89%)、CD4(91%)、CD5(92%)、CD7(86%)、CD8(31%)、CD10(5%)、CD19(18%)、CD20(8%)、CD13(4%)、CD33(5%)、
HLA-DR(15%)
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分子生物学的所見 |
【骨髄細胞】
46,XX,t(8;13)(p11;q11)[16/20]、
47,idem,+21[4/20]
BCR-ABL(-) ZNF198-FGFR1gene(+)
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リンパ節所見 |
【頚部リンパ節生検】
T-lymphoblastic lymphoma
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臨床診断 |
骨髄の形態所見よりMPNのCMLが疑われたが、Ph/BCR-ABL1陰性より除外された。骨髄細胞の染色体検査で8;13転座を認め、またFGFR1遺伝子異常を認めたことよりFGFR1遺伝子異常を伴うMPNを疑った。しかもリンパ節生検にて増殖した腫瘍細胞はマーカーよりT-lymphoblastic lymphomaと診断されたことでFGFR1遺伝子異常を伴う骨髄/リンパ性腫瘍と診断された。
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