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 本例は臨床的にILBCL(intravascular large B-cell lymphoma)が疑われたが、形態所見や免疫学的所見(マーカー・免染)などよりEBウイルスやNK細胞関連の疾患に切り替えた。NKについては形態学的に顆粒リンパ球の...
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 本例は臨床的にILBCL(intravascular large B-cell lymphoma)が疑われたが、形態所見や免疫学的所見(マーカー・免染)などよりEBウイルスやNK細胞関連の疾患に切り替えた。NKについては形態学的に顆粒リンパ球の出現頻度は低かった。EBV-DNA(Southern)にてモノクローナルな増殖が認められたことやCD16・CD56(+)、CD3(-)、 TCRαβ・γδ(-)、細胞障害性蛋白(TIA-1,GranzymeB)(+)を認めたことよりアグレッシブNK細胞白血病/リンパ腫と診断された。本例は1か月の急激な経過をとられた。
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■症例詳細データ
性別
年齢 50-54
取得年代 2010-2014
主訴 発熱、汎血球減少症
既往歴 特になし
現病歴 2週間前より発熱を認め、市販の風邪薬を内服していたが改善せず近医を受診した。消炎鎮静剤にて様子をみていたが発熱は改善せず白血球減少と血小板の著減などがみられため当院の血液内科を受診された。眼瞼結膜:貧血、眼球結膜:黄疸なし、リンパ節腫脹なし、肝脾腫あり。
検査所見 WBC3,300/μl(My1,St1,Seg43,Mo12,,Ly5,Abnormal cells 38%)、RBC320万/μl、Hb10.2g/dl、Ht31.9%、MCV99.6fl、MCH31.9pg、MCHC32.0%、PLT3.4万/μl 、NCC9.4万/μl、TP6.0g/dl、AST210IU/l、ALT101IU/l、LDH960IU/、BUN10mg/dl、Cre0.9mg/dl、TC126mg/dl、CRP2.41mg/dl、Ferritin2,960ng/ml、PT 97.6%、INR1.01、APTT31.5sec、Fbg218mg/dl、FDP22.4μg/ml、D-dimer18.5μg/ml、ATⅢ78.0%、EBvirus:VCA-IgG160,VCA-IgM<10,EA-IgG<10,EA-IgM<10,EBNA10、EBvirusDNA:5.4x104copy/106cells、EBV-DNA:monoclonal(+)
末梢血所見 白血球減少(3,300/μl)にて異常細胞が38%みられた。それらは大型でN/C比は低く、好塩基性の細胞質より異型リンパ球を思わせたが、核網工は繊細や核小体を有するものがみられたことより異常リンパ球として捉えた。アズール顆粒はさほど目立たなかった。
骨髄所見 低形成の骨髄にて異常リンパ球は68%みられた。それらは比較的中型で、N/C比は高く、核形不整は顕著で、核網工は粗鋼で小型な核小体を有し、細胞質は好塩基性で突起物を有する形態であった。アズール顆粒を有するものは少なかった。周囲には血球貪食細胞もみられた。
細胞化学所見 異常リンパ球に対し、PO染色、PAS染色、EST染色は陰性であった。
形態診断 末梢血と骨髄に異常細胞の形態はやや異なるも同一のものとして捉えた。歪な核形不整や核小体を有することよりリンパ腫を考えたが、ALLやPO陰性のAMLを考慮し検査を進めることとした。
免疫学的所見 CD2,CD7,CD16,CD56(+)、CD3,CD4,CD5,CD11c,CD19,CD20(-)
TCRαβ・γδ(-)、細胞障害性蛋白(TIA-1,GranzymeB)(+)
分子生物学的所見 46,XY [20]
リンパ節所見 [肝生検] 肝臓門脈域に腫瘍細胞のびまん性浸潤を認める。それらは円形や不規
臨床診断 臨床的にはILBCL(intravascular large B-cell lymphoma)が疑われたが、形態所見や免疫学的所見(マーカー・免染)などよりEBウイルスやNK細胞関連の疾患に切り替えた。NKについては形態学的に顆粒リンパ球の出現頻度は低かった。EBV-DNA(Southern)にてモノクローナルな増殖が認められたためアグレッシブNK細胞白血病と診断された。本例は1か月の急激な経過をとられた。