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 ☆芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)のRAEB-2
血球減少を伴い以下の形態異常を呈す。
末梢血:芽球5~19%、Auer小体は認めたり認めなかったり、
    単球は1000/μl未満。
骨髄:1~3系統で異形成を認め...
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 ☆芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)のRAEB-2
血球減少を伴い以下の形態異常を呈す。
末梢血:芽球5~19%、Auer小体は認めたり認めなかったり、
    単球は1000/μl未満。
骨髄:1~3系統で異形成を認め、芽球は10~19%、Auer小体は認めたり認
    めなかったりする。
 
 本例は、芽球の割合が末梢血で19%、骨髄で13%と末梢血の方が多い傾向にあった。この傾向はMDSでよく遭遇するパターンでもある。
また血小板の増加例であり、monosomy7を認めた。
芽球の割合と背景の形態異常(dysplasia)よりRAEB-Ⅱと診断されたものである。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 骨髄異形成症候群 (MDS) > 白血病へ移行途中のRAEB
性別
年齢 05-09
取得年代 2000-2004
主訴 発熱、咳嗽。
既往歴 家族歴:父が胃潰瘍の反復。
現病歴 顔色蒼白、肝脾大。
検査所見 WBC 15,010/μl(芽球19%)
RBC 258万/μl、Hb 8.6g/dl、Ht 27.0%、
MCV 104.7fl、MCH 33.3pg、MCHC 31.9%、PLT 121.9万/μl、
LD 378IU/l、TP 6.8g/dl、CRP 3.6mg/dl、
Fe 13μg/dl、TIBC 297μg/dl、UIBC 284μg/dl
末梢血所見 大球性正色素性貧血にて奇形赤血球や大型赤血球がみられた。
末梢血には芽球は19%みられ、骨髄での芽球の割合が気になるところである。また、血小板は121.9万/μlと著増し、一部に大型のものがみられた。
骨髄所見 骨髄で赤芽球が68%みられたことより、芽球は赤芽球をはずした(NEC)なかで13%にみられた。
形態異常としては顆粒球系に大型化や低顆粒がみられた。
巨核球系の異形成が強度で2核で円形核のものや小型のものがみられた。増加する赤芽球系には強度な異形成はみられなかった。
細胞化学所見 PO染色、PAS染色、Fe染色に所見たるものはみられなかった。
形態診断 末梢血および骨髄おける芽球の割合と3系統の形態異常が診断を左右するものと考えた。
形態異常では顆粒球系と血小板系にみられ、芽球は末梢血に19%、骨髄に13%みられたことにより、MDSのRAEB-Ⅱ(FAB:RAEB-t)を考えた。
免疫学的所見 CD34・CD38・CD7・CD117(c-kit)(+)
分子生物学的所見 45,XY,-7[20]
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 2系統の形態異常を背景に芽球は末梢血で5~19%(実際は19%)、骨髄で10~19%(実際は13%)の範疇よりMDSのRAEB-Ⅱと診断された。
染色体検査ではmonosomy7 を認めMDSによくみられる核型異常でもあった。