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 若年性骨髄単球性白血病(CMML)はWHO分類では骨髄異形成/骨髄増殖性疾患の範疇とされる。顆粒球系と単球系細胞の増殖を基本とする小児クローン性疾患である。赤芽球系と巨核球系異常もみられ多血球系に分化可...
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 若年性骨髄単球性白血病(CMML)はWHO分類では骨髄異形成/骨髄増殖性疾患の範疇とされる。顆粒球系と単球系細胞の増殖を基本とする小児クローン性疾患である。赤芽球系と巨核球系異常もみられ多血球系に分化可能な骨髄系幹細胞を起源とする証拠とみなされている。
[診断基準]
 ①末梢単球数>1,000/μl ②芽球<20%(末梢血・骨髄)
 ③HbFが年齢に比較して増加 ④未熟顆粒球の末梢血出現
 ⑤白血球数>10,000/μl ⑥クローン性染色体異常(モノソミー7)
 ⑦骨髄幹細胞のGM-CSFに対する感受性亢進(in vitroコロニー形成   法)⑧Ph染色体、BCR-ABL遺伝子を認めない
 本例は白血球の著増(WBC52,800/μl)と末梢単球数の増加(11,088/μl)、さらに骨髄にてGM-CSFに対する感受性が亢進していることよりJMMLと診断された。
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■症例詳細データ
性別
年齢 00-04
取得年代 1995-1999
主訴 白血球増加。
既往歴 特になし。
現病歴 普通分娩にて出産、口内炎、脱水症状から入院された。
肝腫大(7cm)、脾腫大(4cm)。
検査所見 WBC 52,800/μl (St-Seg43, Ly32, Eo1, Mo21, Atly3%)
RBC 380万/μl、Hb 10.2g/dl、Ht 30.7%、PLT 5.5万/μl、
MCV 80.8fl、MCH 26.8pg、MCHC 33.2%、
NCC 50.6万/μl、MgK 18.75/μl (芽球3.0%)、LD 1,497IU/l
末梢血所見 白血球著増(52,800/μl)にて単球の増加(11,088/μl)がみられ、大半が成熟傾向のものであった。
骨髄所見 過形成像にてM/E比は8.1と顆粒球系が優位であった。
顆粒球系が優位のなか、単球や好酸球もみられた。
細胞化学所見 PO染色にて顆粒球、単球、好酸球などに染色性の変化はみられなかった。
EST二重染色では顆粒球系と単球系の混在を示唆するものであった。
NAP染色では陽性率(64%)、陽性指数(171)であった。
形態診断 末梢血の単球が10,000/μl以上(実際は11,088/μl)で、骨髄にて芽球の増加がない顆粒球系が優位のなか単球の混在もあることから、慢性骨髄単球性白血病(CMML)を考えた。
年齢が1年未満を考慮すると若年性型になる可能性もある。
NAP染色の活性がやや低く、Ph染色体の所見が気になった。
免疫学的所見 未施行。
分子生物学的所見 ①46,XY‥20/20cell
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 年齢、末梢血の単球の持続性増加と骨髄にて単球を含む顆粒球系の増加を加味し若年性慢性骨髄単球性白血病(JMML)が考えられた。JMMLの疑いのもと、HbFやコロニー形成能を前もって検索していたところ、HbFの増量(40.7%)やコロニー形成能にてマクロファージが優位(末梢血95%)であったことからJMMLを確診するものとなった。