■ご利用に際して

本サイトは、厚生労働省がん研究助成金総合研究事業および、厚生労働省第3次対がん総合戦略研究事業にて構築され、2014年3月にその事業を終了しております。現在サイトに掲載されている内容は当時の登録状況のまま公開しているため、必ずしも最新の医療に沿う内容ではない場合がございます。ご注意ください。

ご不明点がありましたら九州がんセンターまでお問い合わせください。

JapaneseEnglish

 CMLの新しい分子標的療法 
     -imatinib mesilate(旧名STI571、商品名Glivecグリベック)-
本品はDrukerら(1996)によって開発されたBCR-ABL特異的チロシンキナーゼ阻害剤である。imatinibは2-phenyl-aminopyrim...
(続きを読む)
 CMLの新しい分子標的療法 
     -imatinib mesilate(旧名STI571、商品名Glivecグリベック)-
本品はDrukerら(1996)によって開発されたBCR-ABL特異的チロシンキナーゼ阻害剤である。imatinibは2-phenyl-aminopyrimidine誘導体であり、BCR-ABL以外にはABL,platelet-derived growth factor receptor(PDGFR),c-Kit,Argのチロシンキナーゼ阻害剤である。
     
 本例は、末梢血では芽球を伴わない幼若顆粒球、好塩基球の増加(10%)や単球の増加(3,348/μl)が所見で、骨髄では、顆粒球系の成熟段階への優位で、赤芽球の抑制をみた。単球系は末梢血ほどの増加は見られなかった。末梢血のNAP染色の低値(陽性率13%)やPh染色体、BCR-ABL遺伝子異常を認めたことよりCMLの慢性期と診断された。
(たたむ)

■症例詳細データ
性別
年齢 65-69
取得年代 2000-2004
主訴 倦怠感、肝脾腫。
既往歴 特になし。
現病歴 肝脾腫。
検査所見 WBC 18,600/μl(Promy2%, My2%, Met1%, St2%, Seg61%,
Ly3%, Mo18%, Eo1%, Ba10%)
RBC 534万/μl、Hb 15.2g/dl、Ht 42.6%、MCV 79.8fl、
MCH 28.5pg、MCHC 35.7%、PLT 12.6万/μl、
NCC 65.2万/μl、Mgk 210/μl、LD 1,260IU/l、
UA 8.2mg/dl、NAP:PR13%、PS21
末梢血所見 白血球増加(18,600/μl)の分類にて芽球の増加を伴わない幼若顆粒球の出現や単球(3,348/μl)、好塩基球の増加をみた。
形態学的に類白血病反応を含めた骨髄増殖性疾患を考え、単球の増加は1,000/μlを超えるもので慢性骨髄単球性白血病も範疇に骨髄所見を検索することになった。
骨髄所見 過形成像にて芽球の増加を伴わない顆粒球系が優位(M/E比16.1)で、赤芽球は抑制されていた。顆粒球系には各成熟段階がみられ、全般に好中球に顆粒の減少がみられた。好塩基球や好酸球も散見され、単球の増加はみられなかった。
細胞化学所見 検査室サイドより臨床へお願いしNAP染色を実施したところ、陽性率13%、陽性指数21の低値を示した。
形態診断 末梢血にて芽球を伴わない幼若顆粒球の出現、好塩基球の増加(10%)と単球の増加(3,348/μl)が所見であった。
骨髄では、顆粒球系の成熟段階が優位で単球系は末梢血ほどの増加は見られなかった。末梢血のNAP染色が低値(陽性率13%)のことより慢性骨髄性白血病(CML)を疑った。
免疫学的所見 CD15、HLA-DR (±)
分子生物学的所見 t(9;22)(q34;q11)‥20/20cell
BCR-ABL遺伝子異常(+)
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 末梢血、骨髄では慢性骨髄増殖性疾患の範疇であり、末梢血のNAP低値、Ph染色体、BCR-ABL遺伝子異常を認めたことよりCMLの慢性期と診断された。