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 不応性貧血(RA)の末梢血、骨髄の形態異常を以下に示す。
1)末梢血:①正球性~大球性貧血で、②芽球は無しか僅か(1%未満)、③大小 不同や奇形赤血球がみられる。
2)骨髄像:①芽球は5%以下、②赤芽球系に...
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 不応性貧血(RA)の末梢血、骨髄の形態異常を以下に示す。
1)末梢血:①正球性~大球性貧血で、②芽球は無しか僅か(1%未満)、③大小 不同や奇形赤血球がみられる。
2)骨髄像:①芽球は5%以下、②赤芽球系にのみ異形成、③環状赤芽球は全赤芽
 球中の15%以下がみられる。
     
 本例は、汎血球減少症の範疇で大球性正色素性貧血を呈し、骨髄は低形成にて赤芽球は33%、芽球はANCの1%みられた。形態異常として、赤芽球系に巨赤芽球様変化や核分葉などが、顆粒球系には分裂異常の好中球が、巨核球には成熟不全がみられた。形態異常については赤芽球が主体であり、他は軽度であったためMDS-RAを疑った。WHO分類のRAと鑑別を要するものにRCMDがあるが、後者は2系統以上に10%以上の形態異常を認めるとされる。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 骨髄異形成症候群 (MDS) > 不応性貧血 (RA)
性別
年齢 00-04
取得年代 2000-2004
主訴 貧血。
既往歴 特になし。
現病歴 貧血を近医で指摘され、当科へ紹介された。汎血球減少がみられたため、当科へ入院となった。
検査所見 WBC 3,200/μl (Seg18, Ly74, Mo6, Eo2%)
RBC 181万/μl、Hb 6.5g/dl、Ht 20.6%、PLT 3.4万/μl
MCV 113.8fl、MCH 35.9pg、MCHC 31.5%、
NCC 8.5万/μl、Mgk 18.75/μl (芽球3%)
TP 6.8g/dl、LD 803IU/l、CRP 0.8mg/dl、リゾチーム(s) 28μg/dl
末梢血所見 白血球減少(3,200/μl)にて芽球は認めず、好中球の極端な減少(576/μl)がみられた。大球性正色素性貧血(MCV113.8fl)にて、赤血球は大小不同性で一部に多染性赤芽球がみられた。
骨髄所見 低形成にて赤芽球は33%、芽球はANCの1%みられた。形態異常として、赤芽球系に巨赤芽球様変化や核分葉などが、顆粒球系には核分裂異常の好中球が、巨核球は核成熟不全のものがみられた。
細胞化学所見 赤芽球はPAS染色に陰性で、Fe染色では環状鉄芽球は認めなっかた。ただFe染色でマクロファージに鉄の取り込みがみられ、鉄の利用能の悪さがうかがえた。
形態診断 末梢血にて好中球の絶対的減少と大球性正色素性貧血がみられ、骨髄では芽球の増加はないものの、赤芽球や顆粒球系に若干の形態異常を認めたことよりMDS-RAを疑った。
免疫学的所見 未施行。
分子生物学的所見 46,XY[20]
リンパ節所見 未施行。
臨床診断 汎血球減少症と末梢血に好中球の減少、大球性貧血がみられ、骨髄では赤芽球系を中心とした軽度の異形成より不応性貧血(RA)と診断された。