■ご利用に際して

本サイトは、厚生労働省がん研究助成金総合研究事業および、厚生労働省第3次対がん総合戦略研究事業にて構築され、2014年3月にその事業を終了しております。現在サイトに掲載されている内容は当時の登録状況のまま公開しているため、必ずしも最新の医療に沿う内容ではない場合がございます。ご注意ください。

ご不明点がありましたら九州がんセンターまでお問い合わせください。

JapaneseEnglish

 本例は末梢血、骨髄で増加するリンパ球は villous lymphocyte を思わせるもので、白脾髄の増生とその拡大を認めた。表現型はB-cellであったことより脾辺縁帯リンパ腫と診断された。なかでも白血球の著増(262,60...
(続きを読む)
 本例は末梢血、骨髄で増加するリンパ球は villous lymphocyte を思わせるもので、白脾髄の増生とその拡大を認めた。表現型はB-cellであったことより脾辺縁帯リンパ腫と診断された。なかでも白血球の著増(262,600/μl)に伴いリンパ球が96%みられたことよりsplenic lymphoma with villous lymphoma(SLVL)の診断に合致している。
(たたむ)

■症例詳細データ
FAB分類 > 慢性 (成熟型) リンパ性白血病 (CL... > B細胞白血病 > 毛様リンパ球を伴う脾リンパ腫
性別
年齢 60-64
取得年代 2005-2009
症例の種類 典型例
主訴 腹部膨満感
既往歴 特になし
現病歴 脾腫
検査所見 RBC 343万/μl、Hb 11.3g/dl、Ht 34.6%、MCV 100.8fl、MCH 32.9pg、MCHC 32.7%、PLT 4.4万/μl
WBC 262,600/μl、NCC 68.5万/μl、LD 252U/l、CRP 2.1mg/dl
末梢血所見 白血球の著増(262,600/μl)にてリンパ球が96%みられた。それらは20μm大の中型で、N/C比はやや低く、クロマチンは粗鋼で、軽度の核形不整や細胞質には突起を認めるものがあった。
骨髄所見 過形成像にてリンパ系が78%と増加していた。それらは中型リンパ球様で、N/C比はやや高く、一部に核形不整を認め、クロマチンは粗鋼で細胞質には突起を有するものもみられた。
細胞化学所見 リンパ球はPO染色、PAS染色、EST染色は陰性であった。
形態診断 増加するリンパ球は成熟型であり、細胞質の突起物から villous lymphocyteとして捉え、
hairly cell leukemia(HCL)も考慮し検索をすすめる必要がある。
免疫学的所見 CD19+, CD20+, HLA-DR+, CD5・CD10(-)
分子生物学的所見 46,XY
リンパ節所見 脾門リンパ節のHE染色:白脾髄の増生と小型で円形のリンパ球が増殖している。なかには中型〜大型の細胞が混在して増殖する箇所も散見される。なかには芽球様もみられる。
臨床診断 末梢血、骨髄で増加するリンパ球は villous lymphocyte を思わせるもので、白脾髄の増生とその拡大を認めた。表現型はB-cellであったことより脾辺縁帯リンパ腫と診断された。
HCLとの鑑別が困難であるが、本症は骨髄での増殖像が結節性であることが鑑別とされる。(本例は日本臨床衛生検査技師会形態検査部門に提示されたもの)