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 本例は一見、バーキットリンパ腫様の形態であったが、好塩基性が強度ではないことや空胞もさほど大きくなく均一であることより、類似するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)も含め表現型の結果を注目した。 ...
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 本例は一見、バーキットリンパ腫様の形態であったが、好塩基性が強度ではないことや空胞もさほど大きくなく均一であることより、類似するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)も含め表現型の結果を注目した。
表現型にてCD4、CD25陽性、抗HTLV-Ⅰ抗体ならびにプロウイルスDNAが証明されたためATLLと診断された。染色体検査では複雑核型異常がみられた。
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■症例詳細データ
FAB分類 > 慢性 (成熟型) リンパ性白血病 (CL... > T細胞白血病 > 成人T細胞白血病リンパ腫 (ATL)
性別
年齢 50-54
取得年代 2005-2009
症例の種類 典型例
主訴 眠気、口渇
既往歴 約20年前に弁のカテーテル手術を受ける。
現病歴 意識:傾眠状態、眼瞼結膜:貧血、表在性リンパ節腫大(-)
検査所見 WBC17,760/μl (My.1%, Met3, St5, Seg68, Ly13, Mo7, Eo2, Ba1,Ab.Ly(+), Ebl.1/100w)
RBC374万/μl、Hb11.5g/dl、PLT21.3万/μl
TP6.5g/dl、LDH657IU/l、ALP736IU/l、BUN45.0mg/dl、Cre2.07mg/dl、Ca19.5mg/dl
CRP5.54mg/dl、sIL2R77,800U/ml
NCC10万/μl(Ab.Ly12.2%)
末梢血所見 白血球増加(17,760/μl)にて割合は低いが異常リンパ球を認めた。それらは中型で、中等度好塩基性の細胞質に小さいながらも多くの空胞を認めた。
骨髄所見 骨髄は低形成の傾向で、中等度好塩基性の細胞質に小さいながらも明瞭な空胞を有する異常リンパ球が12.2%認めた。骨髄セルブロック検査にて腫瘍細胞のびまん性増殖がうかがえ核不整や核小体に富むものが散見された。
細胞化学所見 異常リンパ球はPO染色、EST染色、SudanⅢ染色に陰性で、PAS染色に一部陽性のものがみられた。
形態診断 一見、バーキットリンパ腫様の形態であるが好塩基性が強度ではないことや空胞もさほど大きくなく均一であることより、類似するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)も含め表現型の所見を注目した。
免疫学的所見 CD2・CD4・CD5・CD25・HLA-DR(+)
分子生物学的所見 49,XX,add(1)(q21),add(1)(q25),der(2)t(2;3)(p13;q21)ins(2;?)(p13;?),der(3)t(1;3)(q21;p21)
add(3)(q11),del(4)(q?)del(5)(q?),add(6)(p11),+11.-12,+15,+16,-22,+der(?)t(?;12)(?;q13),
+mar1
リンパ節所見 骨髄生検:骨髄の細胞密度は高く、中型からやや大型の異型細胞がびまん性に浸潤し、三系統の細胞の抑制がうかがえる。これらの細胞はN-C比が高く、クロマチンは繊細で濃染する核は切れ込みがみられ、一部には複雑な切れ込みを有するものもみられる。
臨床診断 形態よりバーキットリンパ腫やDLBCLを疑ったが、表現型にてCD4、CD25陽性、抗HTLV-Ⅰ抗体ならびにプロウイルスDNAが証明されたためATLLと診断された。染色体検査では複雑核型異常がみられた。
(本例は佐分利能生先生のご提供によるもの)