■ご利用に際して

本サイトは、厚生労働省がん研究助成金総合研究事業および、厚生労働省第3次対がん総合戦略研究事業にて構築され、2014年3月にその事業を終了しております。現在サイトに掲載されている内容は当時の登録状況のまま公開しているため、必ずしも最新の医療に沿う内容ではない場合がございます。ご注意ください。

ご不明点がありましたら九州がんセンターまでお問い合わせください。

JapaneseEnglish

 本例は、胃癌((BorrmannⅣ型のムチン産生型)を基礎疾患とした細血管壁の障害による赤血球破砕症候群が考えられ、転移性腺癌による二次性に発生した細血管障害性溶血性貧血(microangiopathic hemolytic anemia:MA...
(続きを読む)
 本例は、胃癌((BorrmannⅣ型のムチン産生型)を基礎疾患とした細血管壁の障害による赤血球破砕症候群が考えられ、転移性腺癌による二次性に発生した細血管障害性溶血性貧血(microangiopathic hemolytic anemia:MAHA)と診断された。
(たたむ)

■症例詳細データ
性別
年齢 50-54
取得年代 2000-2004
主訴 易疲労感、息切れ、動悸
既往歴 胃癌(BorrmannⅣ型のムチン産生型)
現病歴 心窩部痛、黄疸、肝腫あり
検査所見 WBC16,800/μl(My4%, Met 4, St 12, Seg48, Eo1,Ly27,Mo4, Ebl.5/100w,schizocyte+), RBC223万/μl、Hb7.8g/dl、Ht 22.3%、MCV100fl、MCH34.9pg、MCHC34.9pg、MCHC34.9%、PLT6.4万/μl、Ret.4.2%、BM-NCC22.1万/μl(M/E:1.4)、Mgk 19/μl、 T-Bil.3.6mg/dl、D-Bil.2.8mg/dl、Haptoglobin 11mg/dl、LD1,957U/l、BUN 28mg/dl、Creatinine1.2mg/dl、Ferritin 5,234ng/ml、PT11.4sec、APTT 41.1sec、Fbg 260mg/dl、FDP245μg/ml、Direct Coombs(-)
末梢血所見 正球性正色素性貧血で、血液像で白赤芽球症を呈し、破砕赤血球の出現をみた。
血小板の減少(6.4万/μl)と網赤血球の増加(4.2%)がみられた。
骨髄所見 正形成の骨髄で、M/Eは1.4と赤芽球の増加を認めた。低倍率にて細胞の孤立集塊を認めた。それらは上皮性結合を思わせ、なかにレース状の粘液物質を認めたため腺癌細胞の骨髄転移を疑った。
細胞化学所見 骨髄で粘液産生を思わせた腺癌細胞はPAS染色にて強陽性を呈した。PO染色、EST染色は陰性であった。
形態診断 基礎疾患に胃癌(ムチン産生型)の骨髄転移があり、しかも溶血性貧血がみられたことより、細血管の障害によるものが考えられ、細血管障害性溶血性貧血を疑った。破砕赤血球と溶血の関係は、細血管の障害によって血管壁へのフイブリンの沈着の結果、鋭く細かいフイブリン線維に赤血球が引っかかり、血流の力によって赤血球はちぎれて破砕赤血球となり溶血したものが考えられる。
免疫学的所見 ND
分子生物学的所見 ND
リンパ節所見 ND
臨床診断 胃癌(ムチン産生型)を基礎疾患とした細血管壁の障害による赤血球破砕症候群が考えられ、転移性腺癌による二次性に発生した細血管障害性溶血性貧血(microangiopathic hemolytic anemia:MAHA)と診断された。